火急的に 勢い良く開かれる扉。リビングにて書類仕事をこなしていたアフロディーテはアクアブルーの目をぱちくりしながら、訪問者たるムウを見やる。 「ど、どうしたんだい?」 急いで十二宮を上がってきたのか、息を弾ませるムウに何事かとアフロディーテは近付く。何か非常事態が起きたのか……だとすれば十二宮の始まり、第一の宮を護る牡羊座が、最後を護る双魚宮に来る筈がない。ということは有事ではないということになる。ならばムウは何故にこんなにも急いで双魚宮までやって来たのだろうか。 訝しむアフロディーテを、ムウは光速の無駄遣いで早急に彼を抱き締めた。 「うおっ!? な、何? どうしたんだいムウ?」 「…アフロディーテ。」 抱き締めるムウの腕に力が入る。突然のことに硬直したままのアフロディーテの耳元に、ムウは唇を寄せ囁いた。 「単刀直入に言います。今すぐに…貴方が欲しい。」 熱の籠ったフォレストグリーンの瞳が真っ直ぐに見詰めてくる。今度は思考まで停止してしまった魚に、火の着いた羊は答えを待たず、アフロディーテの衣服に手を差し込み肌を撫でる。 「ちょ、ちょっと、待って。ムウっ、待っててば…!」 「待てません。」 唇を吸われ、中に舌が入り込む。舌の裏から根元を擽られる様になぞられ、アフロディーテは堪らず吐息を漏らす。口の中の性感帯を弄られながら肌を撫でられれば、背中にはぞくぞくとしたものが這い上がる。そんな気なんて微塵も無かったのに、口付けと軽い愛撫を繰り返えされて、アフロディーテにも情欲の炎が灯り出す。 「…ああ、とても良い表情になってますね。」 「年上をからかうんじゃないよ…。」 口では強がっているがアフロディーテの膝はもう既に笑っている。ふらふらな魚を抱えるとムウはすぐ様寝室に向かい、ベッドにアフロディーテを横たえる。シアン色の巻き髪とシスル色の髪が絡み合う様は、今宵の情事の様を顕しているかの様だった。 ―――――――――――― 羊さん抑えきれなかった様です。 |