ホワイトチョコミルク アイオロスの姿がどうやら見付からないらしい。今日誕生日を迎える主役がいないとなると、彼の為のパーティが意味を為さなくなる。見張りの兵曰く、アイオロスは聖域を出てはいないと言う。ならば何処に行ったのか……。手が空いている黄金何人かが自由気ままな射手座を探しに人馬宮を出て行った。 捜索隊の一員となったアフロディーテは外ではなく人馬宮内部を歩いていた。とある部屋の前を通り過ぎようとした時だ。一瞬灯りがついたかの様にアイオロスの小宇宙が燃える。その部屋へと通じる扉を開くと、ロッキングチェアに座り太陽を思わせる様な笑みを浮かべてアイオロスは片手を上げてみせた。 「貴方は皆を困らせるのがお好きなのですか?」 「そういうつもりも、そういう気もないのだがなぁ。」 でも結果的にかくれんぼみたくなってしまった、そう言いながらアイオロスは部屋の石壁を撫でた。この宮は射手座の小宇宙か、聖衣かはたまた別の何かの影響で、時折内部構造が変化するのだ。自動防衛装置と言えば聞えは良いが、実際には通行するのに変なトラップが出来ていたり、折角覚えた道程が変わって使えなくなったりと、通行するのに手を焼くことがあるのだ。 「我々はまだ良いとして、いい加減内部を固定させてくれませんか。また兵や官吏達からクレームが来ますよ?」 「努力はしているのだがな、どうも上手くいかない。」 「そんなことを言って……貴方ほどの力があれば造作も無いことでしょうに…。」 出来ないのと、敢えてやらないというのは全然意味が違う。何処まで本気なのか分からないアイオロスの飄々とした態度に、アフロディーテはいい加減シオンへ進言するべきか否かを悩んでいた。 「兎に角、元の部屋に戻りましょう。探しに行った皆を呼び戻さないと…。」 「まあまあそんなに急がなくても良いんじゃないか?」 ロッキングチェアの軋む音が止んだ。 「アイオロス。」 じりじりと距離を詰められる。笑みを浮かべているのが、逆に恐ろしく見えてアフロディーテは思わず後ずさる。 「アイオロス。」 名を呼ぶが返事はなく。背中に当たる石壁。誘導されたと気づいた時には、逃げ道たる扉は一メートル以上も離れていた。 「…逃がさないよ?」 咄嗟に構えた左手は壁に押し付けられ、アイオロスの左手が顎に掛かった刹那、唇が重なる。可愛いリップ音を響かせながら啄む様に何度も口付けられる。 艶やかな唇を一舐めされた後、薄く開かれたアフロディーテの咥内にアイオロスの舌が差し込まれる。柔らかく瑞々しいアフロディーテの舌と舌を擦り合わせて、吐息と共に吸い上げる。角度を変えながら幾度となく繰り返してやれば、頬は赤く染まり、アクアブルーの瞳は涙で潤んでいた。 「、これ以上は…。」 そう言いながらアフロディーテの右手が、アイオロスの胸板を押す。顔もぷいっと外方を向かれてしまった。 「じゃあ続きは後で、ということで良いかな?」 「……皆が寝静まったあとなら…。」 「ああ、良かった。」 楽しみが増えた、とアイオロスは笑いながら、もう一度アフロディーテへ口付けた。 ―――――――――――― ロス兄誕生日おめでとうございます〜! 前から人馬宮アスレチックの話を盛り込みたかったので書いてみました(笑) 11/30の誕生酒はホワイトチョコミルク。特徴は希望に胸をふくらませる明るい人です。 |