sweet baby! 今年のハロウィンも青銅の聖闘士達がやって来るらしい。お陰でまたあいつら様に菓子を作ってやらないといけない。至極面倒臭いことこの上ない。しかし我等が女神様より直々に"お菓子楽しみにしてますね。"と言われて仕舞えば、女神様に仕える俺達は作るしか無くなる。因みに作れないやつらは、即行街に下りて行ったらしい。 そんなこんながあり、恐らくは聖域一料理が上手いであろうデスマスクも菓子作りに勤しんでいた。 「あー美味い…やっぱ俺様って天才だわ。」 去年より更に改良し美味くなったパンプキンパイを試食しながら自画自賛する。空しくなる前に青銅の分を包み、更には我等が女神様への献上品として作ったパイを1ホール箱の中に丁寧に仕舞った。そうすれば今日のお勤めは終了だ。否、今日は元から非番である。料理をすることはデスマスクにとっては苦ではないので、仕事と言うのは語弊があるか。 「…っと、あいつらの分は……ラップで良いか。」 そんなことより腐れ縁の山羊と魚にも作ってやったパイをラップでくるりと包んで、デスマスクはキッチン、更には巨蟹宮を出る。何時青銅達が来ても良い様に、巨蟹宮の入り口の良さそうな場所に菓子を置いておく。女神へは彼女が聖域に戻ってきた時に渡せば良いだろう。 改めてデスマスクは上を目指す。 無人の獅子宮を抜け、万年欠食孤児兼食欲魔神のシャカの魔の手からパイを守り、老師からは幼馴染みで仲良く食えとあんまんを持たされ、ミロとアイオロスがいない(前者はアイオリアと買い物に出掛け、後者は教皇宮に詰めている)各守護宮を抜け、見えてきたのは磨羯宮。小宇宙を探らずとも、アフロディーテも磨羯宮にいるのだろう。 真っ直ぐに居住スペースへ足を踏み入れる。リビングにはアフロディーテが作って持ち込んだであろうシュークリームのカスタードを爆発させているシュラと、チョコレートソースをチュロスにたっぷりつけて食べるアフロディーテがいた。 「お前相変わらずシュークリーム食うの下手くそだな。」 「…うるふぁい。」 「本当だよ、なんで毎回カスタード溢すのさ。あ、デスマスクは何作ってきたんだい?」 「パンプキンパイ。」 「なんだ去年と同じか。」 「馬っ鹿、去年より何倍も美味ぇっつの。それよかアフロディーテ、お前も口許にチョコついてっぞ。」 「えっ何処。」 近付いたと思った刹那、ペロリ…とデスマスクの舌がアフロディーテについたのチョコレートを舐めとっていく。 「…普通に取ったらどうだい馬鹿蟹。」 「顔赤くしちゃってー可愛いなおま……ぎゃぴぃ!?」 手癖の悪いデスマスクがアフロディーテの腰を撫でる前に、シュラの手刀が蟹の頭部に落ちる。 「全く…お前は油断も隙もあったもんじゃないな。」 頭部を押さえて痛みに悶えるデスマスクを見るシュラの目は冷ややかだ。 「…という訳だアフロディーテ俺ともしよう。」 「何故急にそういうことになるっ!?」 「デスマスクだけ狡い。」 「無意味に色気たっぷりの表情をされても駄目なものは駄目だ!! なんでそんなにスイッチ入るの早…ッ…んんっ。 」 がっちりとシュラの両腕でホールドされてしまい、逃げようにも鍛練馬鹿の山羊の腕力が強く逃げられない。シュラの咥内に残るカスタードの味が甘くて甘くて仕方無かった。 ―――――――――――― ハロウィン遅刻orz うん、年中組でわちゃわちゃ仲良くお菓子食べさせたかっただけ(笑) ちっちゃい頃の話ですがシュークリームのカスタード爆発させて食べてたのは私です← あれ、ひっくり返して食べたら爆発しないですよ!← |