バーボンバック 双魚宮の魔宮薔薇の庭園内には、言葉通り隠された場所がある。今朝は其処でアフロディーテが作った朝食をアイオリアは食べていた。 朝日に照らされた美しい真紅の薔薇達に囲まれての朝食というは、実を云うと未だに慣れない。自分には薔薇は似合わないと思っているし、この世で一番薔薇が似合う人が恋人というのもあるだろう。周りの薔薇達負けず、目の前の麗人は自ら作ったオープンサンドを口に運んでいた。 「ん、どうかしたかい?」 「あ、いや別に…。」 見とれてた……なんて、口が裂けても言える訳もなくて。変な子だな、とアフロディーテはアイオリアを見て微笑む。 徐に指に着いたドレッシングを、赤い舌が舐め取っていく。なんてことない仕草だが、その仕草はアイオリアの心臓を早めるには十分であった。…そう。ついさっきまで二人で愛し合っていたことを嫌でも思い出させる。 あのアフロディーテの舌と己の舌は、唾液の糸を紡ぐまで絡み合わせて貪りあっていた。あの指も愛し愛され、縋りついてきた時に口付けを落とし繋ぎあった。昨日のアフロディーテの媚態を思い出して、彼につけられた背中の傷が疼く。心がざわめく。 「アイオリア顔が赤い様だけど…熱でも出た?」 席から立ち上がりアイオリアの額に触れ様としたアフロディーテの手は、寸でのところでアイオリアに防がれる。 「…アイオリア?」 小首を傾げるアフロディーテの、指先にキスを落とす。次いで手のひらに口付ければアフロディーテの頬がカッと赤く染まった。 「アイオリア、手を…。」 彼も思い出してくれた様だ。この手は昨日も散々愛したものだ。人差し指の桜色の爪先から口に含んで舌を絡ませながら根元までしゃぶりあげると、身体は素直に反応し、アイオリアからの愛撫を享受し始める。 「離してくれアイオリア…誰か来たら…。」 「此処は秘密の場所なのだろう? 誰も来ない。だったら見付かることもない。」 見ているとしたらアフロディーテが毎日世話をしているこの薔薇達ぐらいか。 「それに…誕生日には俺の願いを聞いてれるのだろう?」 「確かに、そう言ったけど…。」 まさかそのお願いが、外で抱かせて欲しいなんて…。誰が考えつくだろう。既にスイッチが入ってしまったアイオリアにあっという間に、光速の無駄遣いで草原に押し倒されてしまった。 「あ、アイオリアっ!」 獅子は自身の下で身悶える魚を前に舌を舐めずる。 「いただきます。」 ―――――――――――― アイオリア誕生日おめでとうぅぅぅ! スイッチが入ったリアはえろいと思われ← 8/16の誕生酒はバーボンバック。特徴は知ることを求めるチャーミングな探検家です。 |