チョコレートグラスホッパー 宴もたけなわの双子座の誕生日パーティー。大体この辺りで一人か二人酔っぱらって寝てしまう、そんな時間帯。今宵一番最初に床に転がったのは魚だった。薔薇みたく顔を赤くさせて、なんとも気持ち良さそうに寝息を立てている。黄金聖闘士の殆どはアルコールに強い人間ばかりだ。アフロディーテもその一人であり、だからこそこうやってアルコールに飲まれて寝て仕舞った姿を見るのは珍しく貴重であった。 「おーいアフロディーテぇ? 寝るなーまだこれからだぞー。」 腐れ縁のデスマスクとシュラもアフロディーテが落ちたことが珍しいのだろう。蟹は頬をつんつんしたり、ふにふにと揉んだりと悪戯をしている。目が据わりだした山羊は何を思ったのかアフロディーテの巻き髪をみつあみに結い出す。 「あんまりちょっかいを掛けてやるな、起きるだろう。」 何やら良からぬことを画策し出だした蟹と山羊の酔っ払いの魔の手からアフロディーテを救い出したカノンは、彼を連れて取り敢えず自室へと向かった。 「…で? どういうつもりで寝たふりをしたんだ?」 ベッドに落とした魚は片目を開けて薄く笑っている。 「………バレてた?」 「あぁ、とっくの昔にな。」 そうか、とだけ言うとアフロディーテはくすくすと笑い出す。 「なんで寝たふり?」 「だってこうでもしなければ君と二人になれないじゃないか?」」 極上の殺し文句と蟲惑的に笑む麗人に、カノンはアルコールのせいではない熱が頬に集まるのを感じた。心臓も何処か早く脈打っている。 「誕生日おめでとう。」 「…あぁ。」 「ねーカノン?」 「今度はなんだ?」 「ふふ…好きだよ。」 愛の囁き。綺麗に笑うアフロディーテ。その瞬間カノンは彼に覆い被さっていた。 ―――――――――――― のんたん誕生日おめでとう! 5/30の誕生酒はチョコレートグラスホッパー。特徴はプラス思考で物事に取組む探求者です。 |