すまき

 磨羯宮の回廊と居住スペースを隔てる扉が閉まるのと同時に、シュラに唇を奪われる。彼にしては珍しく性急で、差し込んできた舌が己の舌の裏側を擽る。
「ん、……っ…んぅ……。」
 ちらり、と私の反応を見ながら咥内を犯していく。舌を絡ませる度に唾液が音を鳴らす。業と音を出して煽れば、アフロディーテの身体がふるりと震え出す。逃げ出す身体と、逃げる舌。前者は壁と自分の身体で挟み込んで逃げられなくしてやる。奥に引っ込む舌を嘗め上げ、上顎を擽る様に動かせばアフロディーテの身体から力が抜け始めた。壁づたいにずり落ちていくアフロディーテの身体を支えながら、シュラはアフロディーテの水を含んだ重たいシャツを脱がしていく。
「…っ君は…!」
「前にも言った筈だ。お前に面倒を掛けられるのは迷惑ではないと。」
 寧ろ慣れたとしれっと言い放つ山羊に、酸欠でままならないがアフロディーテは衣服を脱がされながらジロリと睨み付けた。
 またもや聖域を出ている時に雨に降られたアフロディーテはびしょ濡れのまま磨羯宮を通り過ぎようとした。そしてまたもやシュラに見付かった。どうせ双魚宮に戻るまで濡れるから良いと言うアフロディーテに、シュラは無言の圧力攻撃。しかしアフロディーテも引かず、そのまま通り抜けようとした彼の腕を掴み半ば無理矢理居住スペースに引っ張って……そして今に至る。
「…君がこんなに強引とは思わなかった。」
 入り口付近に置いておいた衣服に着替えさせられ、リビングで寒くない様に毛布でぐるぐるに巻かれたアフロディーテはブツブツと不平と文句を並べていた。
「お前が人の話を聞かないからだ。」
「話して無かったではないか!幾ら付き合いが長い私でも、ずっと黙って見つめれては分かるものも分からんっ!」
「今日は随分と機嫌悪いんだな?」
「十中八九君のせいだッ!!」
 ご機嫌斜めなすまき状態の魚はそのままソファに転がった。ふて寝をするつもりだろうか。しかしそうはさせまいとシュラはすまき魚を抱えると、浴室へと向かうのだった。

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すまきにされるアフロちゃんを書きたかっただけ←

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