デザートは終わった後で

 ネクタイを解くのは俺じゃなくて、自分の膝を枕に寝転がったアフロディーテの手だ。シュル…と微かな衣擦れの音がした刹那、ランプブラックのネクタイはソファの下に落とされた。
 次いでアフロディーテの手は自分のネクタイを緩めに掛かる。先の自分のネクタイと同じく、アフロディーテのネクタイも床に落ちる。重なるネクタイ。重なっている俺とお前。
「明日は何時だったっけ?」
「夜の八時からだと言っていただろう。話はちゃんと聞いておきたまえ。」
 呆れた様な眼差しをくれる膝の上の麗人を宥める様に髪を梳く。
 ここ数日はずっと対象の周辺調査を行っていた。その結果対象がもし黒ならば然るべき処置をしろとの命が下っている。残念ながら対象は限り無く黒であった。明日はその対象が参加するパーティがあり、その時に一人になる或いは一人に出来る可能性が高い。葬るならまたとないチャンスである。
「それにしても…粛清任務ならば君一人で十分なのではないか?」
「馬鹿野郎誰が俺みたいのにホイホイついてくるかよ。綺麗な顔したお前が誘うからついてくるだよ。」
「ふむ…確かに君みたいな品のない顔についていかれたら、囮の役目を請け負った私の面目丸つぶれだな。」
「はっ言うねぇ。」
 不敵に笑う麗人。その辺の毒婦も真っ青だなとデスマスクも笑う。明日は色々と面倒くさく忙しくなりそうだな…と不満を口にしながら、デスマスクはアフロディーテのYシャツのボタンを左手で器用に外していく。
「こら、任務中はしないと約束した筈だが?」
「良いじゃねぇか減るもんでも無ぇだろ。」
 Yシャツの前を軽く開いて現れた白い肌を撫でる。ツツー…と指を滑らすと律儀にもピクンと可愛い反応を返すアフロディーテにデスマスクは気を良くする。刹那、アフロディーテは勢い良く起き上がる。
「これで我慢しろ。」
 そう言って頬にキスをされた。唇にしたら食われると分かっているから、敢えて頬にしたのだ。
「なら、明日終わったら覚悟しとけよ?」
「無粋だな。任務が終わって昂ったままするなど…。」
「衝動のままにってか? そうだなぁそれも良いな。んで、たまに後ろから……痛ってえッ!?」
「全く君という奴は…本当に品の無い。」
 真っ赤な顔をさせたままアフロディーテはずかずかとシャワールームへと消えていった。
 たまにからかうと面白い反応をくれる。可愛い可愛い魚座の麗人にデスマスクはしたり顔だ。
「しかしアイツのグーはやっぱ痛えわ…。」
 ついさっき出来たばかりの頭の瘤を擦りながら、デスマスクはじっとシャワールームを見詰めていた。

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でっちゃん下品←

元はついったのお題消化しようと思ったんですが、お題とかけ離れちゃったので…(笑)

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