クソガキ時代のエトセトラ 蟹座、山羊座、魚座の黄金聖闘士達が膝を折り傅く先には、教皇であるシオンが椅子に座り三人を見下ろしていた。 教皇より直々に勅命を賜るというのは、偽りの教皇を立てた13年間を彷彿とさせるものがある。力無きもの達は力有るものに従い、偽りといえど確かに平和を守ってきた。悲しいかな。分かっていて、そうすることしか出来なかった10歳と9歳の子ども達を順繰りに、あれから大きくなった三人を見やるフクシアの瞳は哀の色を含む。 「…なんて、湿っぽいのは止めだ。面を上げよクソガキ共。」 「は?」 「クソガキって…。」 「えぇー…急に何すか?」 ほらクソガキだ。教皇に面と向かって「は?」だの堂々と言いおって…。敬語なんてのも昔から形だけだったなお前達。 「思えばお前達は入ってはならんと言ったところに入り、やってはならんと言ったことをやり、禁といったことは兎に角破り、仕舞いには封印処置を施したものを破壊したり……。」 「あー妖精のあれか!そんなこともあったな。」 「確かシュラが聖剣でパーンッ!て斬っちゃったんだよね。」 「…今思い出してもやはりあれは壺には見えなかった。というかお前達が、」 「ぅおっほん!!」 業とらしいシオンの咳払いに、再び場の空気は引き締まる。 「それでシオン様? 俺達あなた様に呼び出しくらうほど、何か癪に障る様なことをしましたっけ?」 「おーおーどの口が言うか蟹。良いかクソガキ時代のお前達の悪戯その他諸々は今でも私の癪に障りまくっとるが、今日はそのことで呼び出したのではない。」 「というか幼少期のやつってもうとっくに時効なのでは…?」 「黙れ魚。私の中で時効制度はとっくの昔に撤廃している。故に私は探すぞ、あのシエスタの時に残しておいたケーキを誰が食ったのかをな!」 「…デスマスク、あの時貰ってきたって言いながら持ってきたザッハートルテってもしかしt…ぐふっ!?」 「馬っ鹿!!それを今言うんじゃねぇッ!!」 「シオン様、私はあのザッハートルテは食べてません。庭園の管理より戻ってきた時には、二人に全て食べられていました。」 「アフロディーテてめぇ!!」 「事実だろう。」 「そうか…やはりお前達だったか。よし、覚悟は良いな? "うろたえるな小僧ども――――!!"」 これ以上の言い訳も、逃げも打てず、黄金聖闘士が三人綺麗に頭から落ちる。痛みに悶えるかつてのクソガキ達へ、シオンが下した勅命はあの時食われたザッハートルテ(その他諸々のケーキ)を買ってこいという可愛いものだった。 ―――――――――――― 年中組は小さい頃クソガキだったら可愛い← 来た時は諸々暗いところもあったけど、年が近くて三人でいるうちに年相応のクソガキに…なんて(笑) |