ティフィンカシスティー

 飲み過ぎた…と言って宴会場と化している白羊宮を脱走したムウは一人、入り口の柱に身体を預けて夜風を浴びていた。
 春近し夜だが風はまだ冷たく、しかし酔って火照った身体には丁度良い。
 居住スペースから黄金聖闘士達の賑やかな小宇宙を感じながら、夜空を見上げる。空気は澄み渡っていて星を観察するには絶好の日だ。
「見付けた。」
 宵闇に映えるシアンの髪。頭にはウサギの耳が着いたカチューシャを被ったアフロディーテが、ゆったりとした動作で近付いてくる。
「おや、可愛い兎が一匹どうしたんでしょう?」
「罰ゲームさ。もっとエグいのがくるかと思ったんだけどね。」
 と、アフロディーテは肩を竦めながら言った。また一段と黄金聖闘士達の小宇宙が賑わっていく。
「誰だか知らないけどツイスター持ち込んでてさ、今ミロとアイオリアとサガと老師がやってる。」
 面白いから見においでよと言うアフロディーテは、自分を迎えに来てくれたらしい。ほろ酔い故に、何時もより雰囲気が何処と無く緩いアフロディーテ。それはムウにも言えることで…。
「うおっ!?」
「ふふふ、私の可愛い兎さん。」
 色気もクソも無い悲鳴を上げるアフロディーテをお構い無しに、ムウは彼をぎゅーっと抱き締める。
「痛い痛いムウっちょっと待ってっ!骨、骨軋んでるっ折れるっこのままだと私死ぬっ!!」
「そうなったら私がきちんと始末してあげますよ♪」
「お前が言うと洒落に聞こえん!ムウ本当は相当酔ってるな!?」
「酔ってません。」
「酔っ払いは皆往々にしていうが、事実酔っているのだよ!」
 皆で飲んでいる時は素面みたいな顔して、二人になると絡み酒をしてくるあたりこの牡羊は相当質が悪い。
「アフロディーテ、今から双魚宮に行きません?」
「普通に白羊宮の中に戻れば良いだろう?」
「なら…この場で貴方を抱きますよ?」
 耳元で吹き込む様にムウはアフロディーテに囁く。アルコールのせいでは無く、ムウの言葉に顔を真っ赤に染めたアフロディーテへムウは静かに唇を押し付けた。リップ音の後、ムウのフォレストグリーンは熱を持ってアフロディーテを見詰める。
「どうしますかアフロディーテ?」
「……行こう、か。」
「では。」
 魚を担いだご機嫌な牡羊は双魚宮へ光速で駆けて行った。

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うわあああああ遅刻したああああああ←
ムウさんお誕生日おめでとうございます!(☆ドンドン★ぱふぱふ☆)

3月27日の誕生酒はティフィンカシスティー。特徴は「ガラス細工のように繊細なロマンチス」です。

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