お粥 ベッドで横になるアフロディーテの顔は赤い。前髪を掻き分けて手のひらを乗せる。今はまだ微熱だが、これから更に熱は上がるだろう。 先程カミュに作って貰った氷を水と共に洗面器に移して、タオルを浸す。冷たい冷水からタオルを引き揚げて固く絞ってアフロディーテの額に置く。 「…シュラ?」 見開かれたアクアブルーの瞳は何処と無く虚ろだ。風邪を引いて熱で朦朧としているのだ無理もない。 「具合が悪いなら無理せずに言えと言ってるだろう…。」 「大丈夫かなって、思ってね。」 「お前の大丈夫は大丈夫じゃない。」 ベッドの横にスツールを置いてそれにシュラは腰を掛ける。手を伸ばして、アフロディーテの顔に掛かる髪の毛を避けてやる。朱に染まる頬は思いの他熱くて。熱が上がって来たのだろう…シュラはアフロディーテの額から一度タオルを取り氷水に浸ける。用意して置いた経口補水液を吸い飲みに入れて、水分補給を手伝う。 「薄い…。」 昔、誰に習ったか。シュラが作る経口補水液はいつも甘味が少なくて薄く感じてしまう。 「デスマスクのはちゃんと甘いのに…。」 「アイツが作るやつは甘過ぎる。糖分は取り過ぎたらいかん。」 「…そういう君も甘党の癖に。」 変な所、シュラは頑固であった。 「熱上がって来たかも…。」 「薬、先生に調合して貰ってる。届いたら起こしてやるから、今は寝てろ。」 「うん…。」 毛布を掛け直して、額に冷たいタオルを乗せる。 「…なぁシュラ。」 「ゼリーならデスマスクに頼んでる。」 「ううん、そうじゃなくて。お粥…あれ食べたい。」 以前、日本に行った時に食べたお粥をご所望の様だ。飲み過ぎた翌朝でも、胃に負担を掛けないからとアフロディーテは甚く気にいっていた。国際色豊かな食材が入っている冷蔵庫にご飯の残りがある筈だからと、それだけ言うと瞼が下りてそのまま眠ってしまった。 「作り方、余り詳しくないのだがな…。」 それでも食べたいと言われたのなら、作ってやらないといけない。巨蟹宮より出でて上がってくるのは、蟹座の幼馴染みの小宇宙。立ち上がったシュラはデスマスクを迎えに行く。料理上手な幼馴染みに聞いて作ってやろう、そう思ったら自然と足の動きは早まるのだった。 ―――――――――――― 小さい頃具合悪くなった魚を山羊が面倒みてたら萌える。 でも黄金って滅多に風邪とか引かなそう← |