水と焔

ミヅキ+ホムラ


 「最近ミヅキの様子が変ですわ。」
 突然のルカの発言に、同じエントランスのテーブルとソファーがある場所に座っていたヤマトとシエルは目を白黒させていた。
「最近っていうか……アイツは前からだろ?」
「分かっていませんわねシエル。」
「何?」
「具体的にどこが変なのよ?」
 極東支部ではミヅキは浮いた存在である。規則に縛られない自由な彼は、秩序を守る周りの人間からすれば異端という風に見られてしまう。だからといって自分の信念は曲げない。ヤマト達はそういうところを知っている。
「落ち着きがあまり有りませんわ。」
「落ち着きが無い?」
ルカの言葉に二人は首を傾げた。ヤマト達はそんなに替わりないと思ってるが、ルカからすれば随分違うのだという。
 「……あっお帰りミヅキ。」
 そうこうしている間に、任務に出ていたミヅキが帰って来た。やはり見た目からは落ち着きが無いようには見えない。
「スサノオだったな、どうだった?」
「退屈だった。」
「ミヅキの腕ならそうでしょうね。」
「そうね。ゆっくり休んだらいいわ。」
 仲間の労いの言葉にミヅキは短く答えるだけ。どちらかといえば落ち着きが無いより、機嫌が悪そうに見える。
「…ミヅキ?」
「俺部屋に行くね。」
 皆の言葉を遮る様に、ミヅキは区画用エレベーターへ消えていった。

 部屋に戻る途中ミヅキは医務室に寄っていた。別に何処か怪我をしたとか、具合が悪い訳ではない。しかし最近は良く眠れない日々を過ごしている。
「余り睡眠薬に頼り過ぎたら駄目よ?」
 萌黄色のふわふわの髪の毛を纏めた看護師のレイナードに諭されながら睡眠薬を受け取る。お大事に、と少しだけ間延びした口調に送り出されて、ミヅキは医務室を後にした。
 区画用エレベーターから降りてきた人物を見てミヅキの鉄火面が崩れた。目を見開いて驚くミヅキに、降りてきた青年はふんっと鼻を鳴らしてミヅキの前に立つ。
「…生きてたんだ。」
「勝手に殺さないでくれないか。」
 剣呑とした空気が廊下に広がる。
ピーコックブルーの髪に、ミヅキとは対照的な燃える様な赤い色をした瞳……。
「再会出来て嬉しいよ……ホムラ兄さん?」
「お前は相変わらずだな……ミヅキ。」
偶然とは必然。




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