アクアマリン

 ドイツ支部近郊。建設途中のサテライト拠点からアラガミの反応が確認された。
 装甲車の中から降りてきた少女……否、女性は己の神機が収納してあるアタッシュケースのロックを解除する。
 蒼の色で統一された神機が現れた。相棒を握り締めると不思議と不安が消えていく。悲しみの連鎖を断ち切る……そういう意味をもつ蒼の刃が、煌めく。
「"ヤマトさん。間もなくアラガミ出現予定時間です。"」
「…了解。」
 神機を手に取りベレー帽を被り直す。
 そのヤマトの後ろで爆音が響く。背後のアラガミ装甲壁が食い破られ、白煙と共に姿を表したのはディアウス・ピター。
「この辺では珍しいわね。」
 ヤマトは帝王を見据え、神機を構えた。

―――――……。

「"そっちはどうですか?"」
「少し前までディアウス・ピター達の相手してたわ。」
「"一人でか!?相変わらずむちゃくちゃしてるな…。"」
 電話の相手はアリサとコウタだ。クレイドルとして、極東を離れて久しい。この電話も本当に久し振りの電話だ。
「"いつ頃戻ってこれそう?"」
「うーん…まだ暫くは無理ね。そっちはどう?」
「"こちらではキュウビのコアを用いたレトロオラクル細胞の研究でソーマが大忙しですよ。"」
「そうそれは良かった。」
「"おいアリサ、ヤマトどういう意味だ?"」
 電話の近くにはソーマの姿もあった様だ。皆…元気そうだ。
「極東のほう…宜しくね。」
「"任せて下さい。ヤマトが戻るまでちゃんと守ってみせます。"」
「"勿論だぜ!なあソーマ博士?"」
「"博士は止めろ。……無茶するなよヤマト。"」
「…うん。有難う。」
 名残惜しそうにヤマトは携帯端末のオフボタンを押した。

「さて、と…。」
 サテライト拠点の人達がヤマトの元へ集まる。こちらはまだ極東近郊のサテライト拠点には及ばない部分が多々ある。先程回収したアラガミのコアを用いて、アラガミ装甲を更新しなくてはならない。
「ヤマトさーん!」
「今行くわー!」
 人々の"ゆりかご"として、大切なものを護る為、私は神機を奮い続ける。
 この世界に一日でも早く安寧が訪れることを。


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