天花溶解

 不味いことになりました…オペレーターの言葉に、碧は思わず聞き返す。碧とサクラが請け負った討伐対象以外のアラガミが、作戦区域内に侵入してきたらしい。
「偵察隊の方の見落し…って訳じゃなさそうですねぇ。」
 碧の言葉にオペレーターが答えた。レーダー上に文字通りポッと表れたアラガミは、騒動を聞き付け此方に真っ直ぐ向かってきていると追加で報告が入る。移動速読も速いらしく、オペレーターからの情報更新が忙しい。
「どうしますかサクラさん。」
「討つ。それだけだ。」
 相変わらず言葉は少ない。しかし、冷たい風に靡く紅蓮の髪の様に彼女の内には熱いものが感じられた。
「…!識別来ました。相手は――。」
 碧の言葉を待たず、サクラは駆け出した。真紅のスピアを構えながら直感で進む先は、きっとアラガミとのランデブーポイント。
「あー…ヤマトさんが言ってたこと、分かっちゃいました…。」
 "サクラは導火線が短いから気をつけて"……碧自体に何かする訳じゃないけど一応ね、と苦笑いを浮かべていたヤマトを思い出す。
 刹那、サクラより先に現れたのは廃寺の雪と同じく真っ白な体躯。揺らめき見えるのは赤いの焔。
「ハンニバル確認しました、此より当該アラガミを討伐します!」
 刹那、金属同士がぶつかり合う音が響く。碧もサクラを援護する為に銃の引き金を引く。今度はなんの躊躇いもなく、打ち出された弾はハンニバルの手甲……ではなく逆鱗を打ち砕いた。
「げっ!?」
 狙いが外れた訳ではない。不意にハンニバルの身体の向きが変わったのだ。
 ハンニバル神属と戦う時、逆鱗はなるべく結合崩壊させないほうが良いとされる。アラガミを討伐する際、オラクル結合が破壊出来るならば破壊をすることに越したことはない。しかしハンニバルの逆鱗を結合崩壊させると、攻撃の種類が増えるというデメリットが生じるのだ。
「すみません逆鱗壊しちゃいました!」
「問題無いさ。」
 ――どうせ…。
「全部壊すッ!!」
 その言葉と共に繰り出されたスピアが、サクラの攻撃を防ごうと構えたハンニバルの手甲を砕いた。
「頭部は碧に譲ろう。」
「――有難う御座いますっ!」
 不敵に笑う紅蓮華。にやりと碧も微笑み返す。
 銃から剣へ。電光石火の動きで碧もハンニバルへと攻撃を繰り返す。白い体躯に青い軌跡が走り、オラクル結合を破壊していく。
「でやあああぁぁッ!!」
サクラよりリンクバーストを受けた碧の一撃は、見事ハンニバルの頭部を砕いてみせた。

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和水さんお借りしましたー!
以前にうちよそして頂いたssの続きを勝手にイメージして…←

いつか共闘したいなぁとか思っ(げふんげふん)


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