隔世する翠

「私は貴女に一つ…謝らなければならないことがある。」
 いつか、ターミナルで見た昔のドラマも同じ様に言っていた。終わる世界で、主人公への突然の告白。若しくは懺悔。最後だから言えること。まさか自分の人生の中でドラマと同じ様なことが起きるなんて思わなかったけど。
「私の本当の姿は情報管理局の人間。そして与えられた任務は貴女の監視。」
 貴女はアナグラの…いえ、生きる皆の希望"ゴッドイーター"でありながら、強大なる力を有する"アラガミ"。
数々の奇跡を起こしてきた。良くも悪くも、貴女の存在は"イレギュラー"。日に日に強くなっていく貴女。そんな貴女が力を持つが故に、新たな力の台頭を彼等が恐れない訳がなかった。
「場合に寄っては殺せって言ってたんですのよ。簡単に言ってくれますわよね。」
 セルリアンの瞳をただただ見開いて驚く貴女。本当は戦いの最中に貴女の動揺を招くことはしたくなかった。正常な判断が出来なければ即刻死が訪れる切迫した状況なのだ。でも、今ここで貴女に謝らなければ、もうその時は訪れないと思ったから。
「ごめんなさい。」
 ――そして、有難う。
「…ルカ。」
「さあ、行って下さいませ。ここから先は貴女の力が必要ですわ。」
 漸くやってきたエレベーターに彼女を押し込み最下層へのボタンを押す。胎動し始めたばかりの、不完全な状態ならばまだ我等ゴッドイーターに勝機がある。奇跡を起こしてきた貴女ならば、あのアラガミも倒せると信じている。
 貴女を裏切ってきた私に、再び貴女の横を歩く資格はない。
「…ルカっ。」
 私の分まで…と、託していく気なんて毛頭ない。
「ごきげんよう、ヤマト。」
「ッルカあぁぁ!!」


 もし、仮に赦されるとしたら。貴女が創りたいと願った新たな世界で……生きてみたい。

「叶わないでしょうけど。」


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ルカが自分のことを告白する時は世界が終わる時。それまでは絶対言わない。こういう時がなければ墓まで持っていく子。

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