アンコールはまた後日

「ほわ〜! これ、本当に食べて良いの?」
 アイリーンは眼下にズラリと並べられたお菓子に目をキラキラと輝かせていた。
「この為に取り寄せたんですのよ。遠慮しないで食べて下さいませ。」
 茶会の主催者であるルカはティーカップを傾けながらそう言った。
「…こ、こんなに頂いても大丈夫なんでしょうかムクロさん?」
「お嬢様(ルカ)が良いっつってんだ、変に気にしないで食べな。」
 じゃないと失礼だぞ、とムクロはエクレアに手を伸ばす。さっき食べ始めたとばかりに思っていたショートケーキはとっくの昔に空だった。順応するのが早い二人と比べ、ルーシーは未だに落ち着かない様子でいた。
「ん〜ルカちゃんどれもこれも皆、とっても美味しいよ〜。…ん、ルーちゃんどしたの?」
「ごめんなさい、まだちょっと慣れなくて…。」
「私達と余り話したこと無いですものね、仕方有りませんわ。」
「だからこれを機会に親睦を深めようって! ねぇムーちゃん?」
「いや、私は別に。つかムーちゃん言うな。」
 ムクロがアイリーンを軽く小突く。照れているのかムクロの頬にはほんのりと赤くなっていた。それをルカに指摘され、ムクロは益々顔を赤くさせていた。
「あら盛り上がってるじゃない?」
「あーヤマトちゃん!」
 ピョンと飛び上がったアイリーンとは対称的に、ルーシーはまた緊張してしまったのか身体を固くさせた。新たにラウンジに入ってきたヤマトは片手に箱、片手にタブレット端末と書類を持っている。どうやら仕事終わりらしい。
「お疲れ様ですわ、サクラと双子はどうしまして?」
「帰って来てるわよー。其々用事があるって言ってたから、それ終わったら来るでしょ。」
「ヤマトちゃんその箱何?」
「フレイアの冷蔵庫から適当に持ってきたケーキよ。…ってあら、見掛けない子ね?」
 セルリアンに見詰められルーシーは更にがちんがちんに身を固くした。
「紹介するね! ブラッド隊員のルーちゃん…じゃない、ルーシーだよ。」
「は、初めまして…。」
「クレイドル隊員の皇ヤマトよ、宜しくねルーシー。…あ、呼び捨て嫌?」
「あ、だ、大丈夫です。」
「そう、なら良かった。」
 屈託なく笑うヤマトの笑顔に、心なしかルーシーの緊張も解けたようだ。ヤマトはルカの隣に座るとフレイア手製のケーキを配り、いよいよ本格的な茶会が始まろうとしていた。

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大変長らくお待たせしました…!
子犬さんリクエスト「うちの女子と子犬さん宅の女の子で女子会」でした。子犬さん宅の女の子達…色々作品を見ながら書いたのですが口調等大丈夫でしょうか…?
もし間違っていたら遠慮なく言って下さい。訂正しますので…。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。リクエスト有難う御座いました!

※お持ち帰りは子犬さんのみ可。


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