ダージリン

「暇だわ…。」
 何時もは賑やかなラウンジにはアキラの姿しかなく、カンッ!とキューが玉をつく音が何処か空しく響く。
 何時も一緒にいる双子の片割れであるマドカは、養父と共に今朝から情報管理局に詰めている。リアンもオペレーターの講習でカウンターにその姿はない。
 先輩達……ヤマトはサカキ博士のラボラトリと研究室行ったり来たりと研究に勤しみ、カイトは自室に籠って今後の為にとオラクル関連の研究論文を読み漁っている。
 シエルは有給を使い実家に帰省。サクラは新設されたばかりのサテライト拠点で防衛任務。ルカはドイツ支部からの要人を送る為に空の上。フレイアはソロでサバイバルミッションに出て…何日が経ったんだっけ?
「やっぱり付いていけば良かったなぁ…。」
 ああ見えて結構ガッツがある人だから心配はしていないが……やはり心配は心配である。
「心配ないわよ。」
「ぴゃあッ!!?」
「なぁに? その悲鳴。」
「おっ驚かさないで下さいよ!」
「驚かしたつもりは毛頭ないけど?」
 クスクス笑いながら現れたのはヤマトだった。スカイブルーの髪を無造作に纏め上げて、眼鏡を掛けた姿をアキラは珍しいと眺める。
「研究一段落したんですか?」
「最近回収したアラガミのコアから取り出したオラクル細胞培養してたんだけど、急に変異して汚染されて嫌になったから出てきた。」
「そ、それはお気の毒に…。」
 培養する上では良くあることだと仕方無いとヤマトは笑っていたが、目は全然笑っていなかった。
「取り敢えず…先輩、お茶淹れますね。」
 思いの他凹んでいる敬愛する先輩へ、アキラは紅茶を淹れる為に部屋に紅茶の茶葉を取りに出た。

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穏やかな午後。


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