残映の白 とても機敏に動く白い相方。残映に映える白銀の勇姿は、手数の多さを生かして小型のアラガミを攪乱しながら、一体ずつ確実に斬り伏せていく。 「白、10時の方向にザイゴート二体。」 「…ん。」 短い返事。返事と呼べるか微妙なところだが、あれが白の常なので何も気にしていない。咆哮を上げながら向かってきたオウガテイルを踏み台にして、白が高く跳躍する。 本当に彼女の左腕は義手なのか、と時たま疑いたくなる。それぐらい、白の攻撃は苛烈なのだ。下手をすれば彼女の身体には、彼女や自分が思っている以上の大きな負荷が掛かる。只でさえ腕を喪うことは人体にとってかなりの負担になる。本来ならば即刻神機使いを引退しなければならない、それぐらい深刻な事案なのだ。しかし彼女は義手にしてまで闘うことを選んだ。 はっきり言えば自分には、白の何が突き動かすのか。身体を押してまで闘い続けるのかが分からない。元から自分のことを余り話すタイプではない子だから、下手にこちらから聞かれては嫌なのではないかと…勝手に思っている。もし…彼女が話してくれる時がきたら、耳を貸し、何か私を必要としてくれるならば、全力で白の力になろうと思う。 故に、自分は何時からか白と組む時は、自然と彼女の後ろ…背中を護る様になった。 白がザイゴートを地面に落とす間に、踏み台にされたオウガテイルやコクーンメイデン、ドレットパイクをスナイパーで撃ち抜いていく。派手な音を立てて撃っているお陰か、空中の白には目もくれず小型アラガミ達はヤマトの方へと真っ直ぐ向かってくる。次々襲いくる攻撃を紙一重で交わしながらオラクルの残弾を確認し、心もとないディスプレイの数字に軽く舌を打つ。 「ヤマト。」 ザイゴートを斬り伏せた白から投げて寄越されたのはOアンプル。所持していた最後の自分の分を飲み込むと、白から受け取ったOアンプルを口に銜えて、眼前に迫ったドレットパイクに引き金を引く。 「…ホムラ教官にそっくりだ。」 銃撃訓練の参考に…と、同僚が訓練で見せてくれた映像のホムラと、今のヤマトの銃撃が重なって見えた。 「そう? まあ銃撃はホムラに習ってたからね。」 「器用に口に銜えて話すのも同じ。」 「これ、フレイアも出来るの、よっ!!」 貫通弾がアラガミの身体を突き抜け、動きが鈍った一瞬の内に白のブレードがアラガミの活動を次々と停止させていく。 小型のアラガミを殲滅したのも束の間。コアの回収中、本日の任務のメインたる対象…アイテールが姿を現した。彼方も夕焼けに映える白いスカートを翻すと、ぎょろぎょろと額の目玉を見開き辺りを見回す。そして…二人を捉えた。 「任せて良い?」 「えぇ。即効撃ち落とすわ。」 空中を浮游するアラガミは地面に引き摺り倒すに越したことはない。何より落とせると信頼してくれる白の期待に、ヤマトは何があっても答えねばならない。 口に銜えたOアンプルを噛み砕き、オラクルを回復させると破砕力の増したバレットをアイテールに引き金を引く。間断無く撃ち込まれ、ガクリと落ちてきた。 「白ッ!!」 「…うん…!」 アイテールへ白は走り出す。その彼女の背中にリンクバーストを。渾身の力を込めた白銀の刃は一切の躊躇なく、神へと降り下ろされた。 天空神の名を関すアラガミは、空を劈く様に無様な悲鳴を上げ、地面に墜ちる。 ―――――――――――― 八周年記念和水さんリクエストでヤマトと白ちゃんで任務のお話でした。 幾ら書いても戦闘描写はなれませんね← リクエスト有難う御座いました! これからも宜しくお願いします! ← |