reminisce

「アキラちゃーん危ないよー!」
 元は高いビルだったそれは、瓦礫となりまた高い山を作っていた。
 そんな瓦礫の山を登る少女は、下で危険だと知らせる少女を無視して登り続ける。あの真っ青な空に届く様な気がして。一度も登り切れない山に挑んでは、施設の先生に見つかって下ろされる。何回怒られてもアキラは登るのを止めなかった。
「アキラちゃんてばー!」
「もう……ちょっと…!」
 あっと思った瞬間、身体は宙に浮いていた。
「アキラちゃん!!」
 友達の声が遠くに聞こえる。一瞬世界の全てがゆっくりに見えた。次に来る衝撃に備える間もなくアキラは地面へと真っ直ぐに落ちていった。


―――――……。

「…………ん。」
「おや、起こしてしまったかな?」
「んー大丈夫…。」
 眠い目を擦りながらアキラは起き上がる。どうやらタブレット端末を枕に眠っていたらしい。そんなアキラに父ソウイチは毛布を掛けようとしてくれたらしい。用無しになった毛布を丁寧に畳むと、ソウイチはアキラの隣に座った。
「少しうなされていたみたいだが…。」
「うん、昔の夢…瓦礫に登って落ちた時の夢を見てた。」
「ああ空から君が落ちてきたあれだね。良く覚えているよ。」
 懐かしそうに微笑むソウイチとは対称的にアキラは恥ずかしさから顔を赤くしていた。
 瓦礫を掴み損なって落ちたあの時、友達の甲高い声悲鳴に気付いて真っ先に駆け付けてくれたのは施設の先生ではなく養父のソウイチであった。彼に抱き止められたお陰で、アキラは地面に叩き付けられることなく無事に降りれたのだった。
 ちなみにこの時、養父達は自分らの養子にする子を探す為に施設に訪れたくさんの子ども達と面談していた最中の出来事で、アキラにとってもソウイチにとっても忘れようにも忘れられない出来事になっている。
「あの出来事があって、私達がアキラを引き取ろうとしたことを後押ししたことは間違いないね。」
「どういう理由だかさっぱり…。」
「それだけアキラのことを大切に思ってるんだよ。」
 ますます意味が分からないというアキラにソウイチは優しく微笑みかける。しかし先程の言葉に偽りはない。



小さい頃からアキラはじゃじゃ馬でした(笑)
そしてソウイチさんはちょっと親馬鹿だったりします。


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