ポケット・イン

「射撃精度が下がってますね。」
 アキラが汗を拭う隣でシエルは先程出たデータを眺めていた。
「先日に比べて命中率の低下が目立ちます。」
 訓練だから許される数字ではない。戦場に出れば少しのミスで命を落とす可能性が上がる。シエルはそれが心配だから、敢えてアキラにそれを問う。
「何か心配なことでもあるんですか?」
「…ないわよ。」
「君は嘘を付くのが下手ですね。」
 罰が悪そうに俯くアキラにシエルは優しく話し掛ける。
「私で良ければ話して下さい。」
 君が困っていたら助けたい。シエルは真っ直ぐにアキラを見つめていた。意を決したようにアキラは重い口を開いた。
「実は………。」

***

「ビリヤード…ですか?」
 確かにここ数日アキラはビリヤードで遊んでいない。だがそれと射撃精度が低下した理由がどこに関係しているのだろうか?
さっぱり分からないシエルは、アキラの次の言葉を待つ。
「シエル先輩にね、ビリヤードのショットはスナイパーの狙撃技術に通じるところがあるからやってみろ、って言われたのが私がビリヤードを始めた切っ掛けでね。」
「ああ、だから毎日の様に沢山プレイしていたんですか?」
 そうだ、とアキラは頷く。
「実際にビリヤードのお陰でスナイパーの射撃精度や命中率は上がったわ。」
 信憑性はないんだけど、ともアキラは付け足した。
「成る程…君の射撃精度向上の裏にはビリヤードが大いに関連していたんですね。」
 毎日の様にやってたビリヤードを最近していない……ここまでこれば大体は予想が出来るだろう。
「ビリヤードのやり過ぎで禁断症状…という訳ですか。」
 今度はがっくりと項垂れてアキラは小さく頷いた。
「これからは程々に遊びましょう。君がこれ以上変にビリヤードに固執しない様にしないといけませんね。」
 やるな。とは言わないけれど、やれ。とも言えない。
「ビリヤードは一日一回から始めましょうか。」
「えぇ…一回?」
「アキラ。」
「…分かった。分かったからごめん、ごめんってばシエル!」
「分かれば良いんです。では今日からビリヤードは一日一回。」
 それからは様子を見て、やっていきましょう。



アキラがビリヤードにハマった理由でした。
GE2のストーリーが終わった時には、週に一回二回の頻度に落ち着きました(笑)


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