"紅蓮華"

 白銀の世界に吹き荒ぶ吹雪を、彼女は神機で切り裂いた。赤い軌跡は、ともすれば同じ白銀に溶けて消えてしまう様な…。ぼんやり仕掛けた思考を寒風が拐って、サクラは魔神――アイテール――のスカート部分を見事に砕いて魅せた。
 グラスグリーンのベレー帽から溢れる紅蓮の髪の毛が揺れる。それはまるで炎が揺らめくようだった。
 淡々と任務をこなしている様に見えるが、彼女の目は確かに眈々とアラガミを捉え、容赦無く荒ぶる神々を葬っていく。
 赤い刀身に、同じく紅いものが白銀の雪を汚す。動かなく為ったアイテールを見下ろす彼女は、今……何を思っているのだろう。
「"もしもしサクラ?そっちはどう?"」
「…無事に終わった。」
「"オーケーご苦労様。"」
 アイテールのコアを回収し終えると、サクラの神機のコアが力強く輝いた。どうやらレア物の様だ。個人的には何処がどうレアなのか分からないが。科学者達には堪らないものだろう。
「"あと五分ぐらいで廃寺につくから、もう少し待ってて。"」
「安全運転で頼むよ。」
「"あら、そうも言ってらんないわよ。"」
 偵察隊が他地域の見回りをしていた際に、クアドリガ神属の姿が確認されたらしい。先行した神機使いはソロらしく、事態は急を要する様だ。
「そうか…なら飛ばしてくれ。」
「"飛ばしてるわよ。サクラもちゃんと回収ポイントにいてよ?"」
「ああそれなら心配ない。もう着いているからな。」
 紅蓮の神機を肩に担ぐ。バギーがもの凄い速度でこちらに向かってきている。サクラはグラスグリーンの目でそれをしっかりと捉えると、地面を蹴って一気にバギーに飛び乗った。



サクラはうちのこの中では感情が見えにくいほうです。ただ導火線は短めです(笑)←


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