high way

 輸送機を操縦するパイロット側が慌ただしい。無線に通信が入った様だ。ヤマトは立ち上がると操縦席に向かった。
「どうしたんですか?」
「皇大尉、救援信号が入ってまして…。」
「繋いで頂戴。」
 少しノイズが入った後に通信が繋がる。相手は同じく輸送機を操る操縦士からだ。
「"現在飛行型アラガミの強襲を受けています。同乗していた神機使い二名が応戦していますが何分数が尋常ではありません。救援をお願いします!"」
 広域レーダーの画面を見ると、ヤマトが乗る輸送機から数百メートル先に輸送機を発見。更にはアラガミを示す点が多数…いや夥しい量が示してあった。
「如何しますか?」
「決まってるわ。助けるわよ。」
 操縦士は頷くと操縦幹を握り直す。
「此方輸送機F-112αの皇ヤマトです。救援要請に応じます。なんとか私達が到着するまで耐えて下さい。」
「"感謝申し上げます。"」


「うわ…なんて数なんだ…。」
 輸送機に同乗していた神機使いの一人は目の前の光景に息を飲む。新人には無理もないだろう。自分でも恐ろしいと感じるのだから。
「あれがサリエルの幼体よ。耐久値は其ほど高くないから、君達は銃で応戦して。」
「先輩はどうするんですか?」
「私は輸送機の上に降りて応戦するわ。」
 輸送機の上では既に二人の神機使いが既に戦闘を開始している。こちらの指揮を自分の次に高い少尉に任せ、ヤマトは降下の準備を済ます。
「無事のご帰還…お待ちしています。」
「有難う。行ってくるわ。」

***

 まるで碧い海だ。そう呟かれた言葉に、プラチナブロンドの髪の青年はその端整な顔を顰めた。スナイパーから放たれた狙撃弾が、その碧い海を作るサリエルの幼体を貫いていく。
「カイト!呆けている場合では…!」
 言い終えるより早く、カイトと呼ばれた青年は向かって来たサリエル幼体を難なく斬り刻んでいく。ボトリと堕ちる幼体。プレデタースタイル・ミズチを発動させ、広範囲に堕ちたサリエル幼体を残さず喰らっていった。
「フレイア呆けている場合じゃないぜ!」
 シアン色の髪を風にふわふわ揺らされながら人懐っこい笑顔を浮かべるカイトにフレイアはふう…と息をつく。全く油断ならぬ奴だ。
 そんな二人の間に、落ちてくる一人の影。ご丁寧に蒼で統一された神機には三体のサリエル幼体を突き刺して、彼女は蒼穹から降ってきた。
「…久し振り。カイト、フレイア。」
「援軍がお前とはなんの因果かな…まあ、息災で何よ……。」
「ヤマトおおぉぉぉッ!!久し振りいいいぃぃッ!!」
「ぅわああぁッ!!?」
 ゴシャアッ!とカイトに抱き付かれて、色気もクソもない叫び声を上げながらヤマトは輸送機の上に倒れ込んだ。
「随分余裕じゃないか、私の援護は入らなかったか?」
「もう一人の援軍はお前かサクラ。」
 紅蓮の髪の毛が炎のように揺らめいている。鋭利な刃の様な切れ長の目を細目ながら、サクラと名を呼ばれた女性はバスターブレードを肩に担ぎ三人の元へ歩み寄る。
「なんの因果だろうな。私達四人が集まるなんてな。」
 四人は四人共に独立支援部隊クレイドルに所属しており、そして四人共に各欧州支部へ出張していた。帰還のタイミングまで揃うとは、誰も想像していなかっただろう。
「あっ!サクラじゃん久し振り!」
「相変わらず元気だなカイト。」
「大丈夫かヤマト?」
「大型犬に突撃された気分だわ…。」
 犬に突撃されたことなんてないけど…と言いながらヤマトは、フレイアの手を借りて立ち上がる。
「あれ、サリエルちょっと減った?」
「お前達がじゃれている間に、私とヤマトの後輩がな。」
 碧い海はカイトが言う通りその数を減らしていた。それでもまだ大量のサリエル幼体がいる。
「何処かに群れを指揮をするリーダーがいる筈だな。」
「先ずはそいつを探さないとな。」
 フレイアとカイトが銃で応戦する様だ。
「なら、私達は地道に狩って行こうかヤマト。」
 不敵に微笑むサクラに、ヤマトは頷く。
「…クレイドル各員に通達。極東支部に帰還する前に、全てのアラガミを討つわよ!」
 サリエル幼体の海に向かってヤマトとサクラは駆け出す。カイトはその二人へリンクバーストを送った。



ヤマトとリザレクションで復活組。


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