きみの笑い方が好きだ。 きゅっと細まる目元と、弧を描くくちびるの間から覗く白い歯。ばら色に上気した頬に、クリームをちょっとくぼませたような可愛らしい笑窪が浮かぶ。鼓膜をやさしくくすぐる笑い声は、この世に存在するすべての慈愛と希望をこめて奏でられる、至上の音楽にほかならない。 幼い眸(ひとみ)は、底まで見通せそうなほどに澄み渡り、生きるよろこびに満ち溢れていた。その眸にやどる、太陽にも月にも負けない輝きが、一片の汚れもなくいっそ神聖さすらただよわせるきらめきが、ぼくに訴えかけてくるのだ。 世界はこんなにも美しいのだと。 いっぱいに広げた短い腕で、大空を抱きしめることができると、なんの疑いももたずに信じているようだった。けれど、そんな絵空事ですら、きみと共にいたらかんたんに実現できるような気がした。 だから、虚飾のないその笑い方を、ぼくは愛していた。 その笑顔をむけられる度に、ぼくの心は、すべてのしがらみから解放されて、ふわりと空へ浮き上がる。あたたかく、まばゆい光が満ちたあの空へと。きみがいるなら、ぼくはどんな鳥よりも自由に羽ばたける。どこまでも飛んでいけるんだ。 忘れないで。 そうしてきみが健気に生きているだけで、救われる誰かがいるのだということを。 どうかどうか、忘れないでいてほしい。 I love the way you smile … back |