審判の時は高らかに響き渡りしコロラチュラが告ぐ 叫喚せよ その闇に触れること能わず 叛意を抱く者は須く魔女の炭火に投ずべし 混沌は掌中の珠に破滅の息吹きを与う 夜の君が去るまでセレナーデを奏でよ 陰魔 忘れられし禁忌の丘に足を踏み入れり 迷いの森を抜けたくば纏わる声に気をつけよ 大鴉の託宣に従え 墓守りと番人の言葉を聞くなかれ 白 魔 の 夜 、汝を訪う姿あり コロラチュラ:ソプラノ独唱などで用いられる装飾に満ちた技巧的唱法。 叛意[はんい]:そむこうとする意思。 セレナーデ:夜曲。小夜曲。恋人の家の窓辺で夕べに歌い奏でられる音楽。 陰魔[かげま]:「陰間」をもじった造語。陰間とは、江戸時代にまだ舞台に出ない少年俳優のことを指す。売春を兼業する、いわゆる「男娼」でもあった。読み方によっては「いんま」とも読めるため、付随するイメージはお好みで。 白魔[はくま]:「びゃくま」ではなく「はくま」。多くの被害を与える激しい大雪を魔物にたとえた言葉。 訪う:おとなう |