7「強制終了」


峰ちゃんに頭をグーで殴られてしゃがみこんでいると、頭上で峰ちゃんの笑い声が聞こえた。
もうなにがあったのかわかんないまま峰ちゃんを見上げると、峰ちゃんの手が俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「家良、よくやった。危ない所だったが、やっぱりお前は勇者だ。…俺はお前の事を、絶対に守る…騎士として」

「騎士て!!」

俺が爆笑する寸前で、峰ちゃんが俺を抱きしめた。
気色悪っ…離れようとしたけど、いまさらになって自分の体がめっちゃ震えてることに気が付いて、なんとなくされるがままになってた。
ウルピィ、めっちゃ怖かったし、震えるのもしゃあないよね…うん…

「峰ちゃん…」
「家良、震えてる」

峰ちゃんの手が俺の背中をぽんぽんと撫でる。それがどうにも気持ちよくって、俺も峰ちゃんの背中に腕を回した。
そしたらすげー安心して、それと同時にドキドキした。

…吊り橋効果っていうのかな、俺、今なんかすごい、みっ…峰ちゃんのこと…好きだな!!!

ちょっと俺が紅くなっていたそのとき、峰ちゃんが俺から離れて、言ったんだ。

「さあ、早く神殿に向かおう。世界がお前を待ってる。」

せ、世界が!!
なんか重たいなぁっていうかマジで峰ちゃんどうかしちゃったよなぁそんで神殿ってどこよ!

「…俺よくわかんないけどお家帰りたいな…」
「ははは、面白いな」

いやなんも面白くないし。

…だけど、俺の家族がおかしくなっちゃったこととか、峰ちゃんもおかしくなっちゃったこととか、村にウルピィとかいう狼の化け物が出たこととか、そのぜんぶの理由が、峰ちゃんについて行けばわかるのかもしれない。

何が起こってるのかわかんないけど、何が起こってたとしても、峰ちゃんと一緒なら、俺、がんばれるかもしれない。

俺は立ち上がって、峰ちゃんの手をぎゅっと握った。

「峰ちゃん…俺のこと絶対守ってねマジでホントに」
「当たり前だ。俺は騎士だ」
「騎士て!!!」

今度こそ俺は爆笑した。

終わり。

ーーー
あとがき

綿逆更新をさしおいて、かねてから書きたかったファンタジーを、リハビリがてら。mainに載せるほどのものでもないので拍手小説にさせていただいてました。でも拍手小説にしては長すぎたので、新たに小説ページを設け、なんとなく載せてみました。
続きそうな雰囲気ですが、多分続きません。意外と好評だったのでシリーズ化するかもしれませんわかりません。

ただ、朝起きたら突然勇者になってたおバカな男の子とウルピィが書きたかったのでした。おかげさまで無理矢理BL要素を取り入れた感がすごい。でも家良くんも峰ちゃんも気に入っています。
読んで下さった方、ありがとうございました!

2013.08.15執筆
2013.11.14追記

ころも


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