6「状況不明」
…いつまで経ってもくるはずの衝撃がこない。
おそるおそる目を開くと、俺の前には峰ちゃんが立っていて、なんかよくわかんないけど、なんか棒?みたいな何かで、狼を食い止めていた。さっきの金属音は、棒
と狼の牙がぶつかった音だったみたいだ。
「みっ、峰ちゃんすげぇええ!!頑張れ峰ちゃん!!そのままいっけぇぇええ!!」
「馬鹿っ!家良、さっさとトドメ刺せ!食い止めるので精一杯だ!」
プルプルしながら峰ちゃんが叫ぶ。トドメって何!?俺教科書と筆記用具しかもってないよぉ!
15センチ定規で勝てるかなぁ!?
「ほっ保健の教科書なら分厚いからなんとかなるかなぁ!?」
とにかくなんとかしなくっちゃ、そう思いながら、通学鞄を漁った。ら、なんか固い、変な物が掌に触れた。
なんかよくわかんないけど、すごいもちやすい形をしていたそれをひっつかんで、中身も見ずに引っ張り出した。
「え、なにこれ」
それは、光り輝く剣だった。
こんなの入れた覚えない!!!ていうか通学鞄にどうやって収まってたんだろこの剣!わっかんないけどとりあえずこれって、
「じゅっ銃刀法違反!」
「馬鹿!早くしろ!!」
あっそうだった峰ちゃんがピンチだった!そして俺もピンチ!
わけもわからず俺は剣を両手で持って、
「ドッセアアアアアアアイ!!!!」
とにかく叫びながら、狼に向かってそれを振りかざした。
俺、言っちゃあれだけど別に運動神経とか良くないし、なんかもう、焦ってたし、当たったのかどうかすらよくわかんなかった。だけど、
ギャオオオオオン!!
ものすごい悲痛な鳴き声をあげて、ウルピィが倒れた。
そんで、なんかウルピィがキラキラ光って、そのまま消えて…
え、消え、え!?
なんか、なんか知らんけど消えた!っていうか!!!!
「お、俺強ぇええええ!!!」
剣を振り回しながら喜んでいると、峰ちゃんに頭を殴られた。あ、いつもの峰ちゃんだ…
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