4「峰野次熊」


峰ちゃんと、いつもの通学路…田舎道を歩く。ちらっと峰ちゃんを見ると、なんか真剣な顔をしていた。なんか、なんかおかしい!なんで峰ちゃんまで。

「ね、峰ちゃん…なんか今日おかしくない?なに?ドッキリかなんか??」

おそるおそる峰ちゃんに問いかける。
峰ちゃんは、何お前?みたいな、なんか失礼な感じの顔で、俺を見た。

「何を言ってるんだ?今日は出発の日だろ。お前こそ、こんな大事な日に家族にろくな挨拶もしないで…」

え、何かわけわからん説教始まった…
やっぱり峰ちゃんおかしい。
峰ちゃんは、両親を反面教師にしたのか何なのか、わりかし真面目な人間だ。いつもは、あんまりふざけたりもしない。
どっちかってゆーと、俺がわーってふざけて、峰ちゃんは呆れてる感じなんだ。
それなのに、今日はその逆だ。
なんか居心地が悪くて、ハァとため息をつけば、峰ちゃんに睨まれる。

「家良、聞いてるのか?勇者ともあろうお前がそんな…」
「もういいよ、峰ちゃんマジでちょっと黙って。ぜんぜん面白くないからそれ」
「面白い面白くないじゃなくてな…」

いつもと変わらない、平凡な田舎道。田んぼが広がって、ドブがあって、どこまでも青空が広がってて、何にもいつもと変わらないのに、俺の家族と峰ちゃんがおかしい。俺つまんない事でからかわれるの嫌いだな、なんて思ってた、その時。

オオオオオン!!

俺たちの進行方向…通学路の向こうから、なんか雄叫び?みたいな変な鳴き声?が聞こえた。
なんとなく、このへん田舎だし熊でも出たかなって思った。

「!?家良、行くぞ!!」
「えっ?峰ちゃんてけっこう野次馬ぁ…熊だったら危なくない?野次馬ならぬ野次熊」
「ふざけた事言ってる場合か!」

峰ちゃんに腕を掴まれて、鳴き声がした方に走った。
ふざけてるのは峰ちゃんじゃん!
ていうか熊ってあんな鳴き声なんだぁ危ないなぁ…なんて思いながら、俺は嫌々峰ちゃんについてったんだ。
そんで、後悔したんだ。



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