3「峰羅流雄」
なんやかんやで学校に行く時刻が近付いてきたためとりあえず急いで朝食を食べたものの、リビングは葬式みたいなムードだった。
もうヤダこの家…なんて思っていた時、チャイムが鳴った。
「あ、峰ちゃん来た」
峰ちゃんとは、俺の幼馴染の
峰 羅流雄(みね らるお)君だ。
想定外な名前だが、峰ちゃんの親は何でもありの元ヤンキーだから、これは想定内の名前なんだ。
だから峰ちゃんを笑うな!!
峰ちゃんの親を馬鹿にするな!!
…ちょっと話がずれたけど、峰ちゃんは小学校の時からずっと、毎朝こうして俺を迎えに来てくれる。とってもいいやつだ。
「んじゃいってきまーす」
ばたばたと玄関へ向かうと、何でか家族全員が俺に着いてきた。
えっ…気持ち悪いなぁなんなのこれ…みんな学校行くの?ほんとに気持ち悪いな…と思ったら、ただのお見送りみたいだ。
どっちにしろ気持ち悪いけど…
「行ってらっしゃい、気を付けて行って来るのよ…」
「さっきは殴ってすまなかった。お前ならできる。俺の息子だからな…」
「おにいちゃん…いってらっしゃい…絶対帰ってきてね、まけないでねええ」
「えっ…う、うん…」
学校行くだけなのに…これ金輪際帰って来んなっていうフリなの??でももうノッてやんない!腹立つからもうノッてやんない!
「…なんかさあもういいから。6時前には帰って来れるから晩飯用意しといてね」
「バカヤロオオオそんな甘いモンじゃねえええ!!!」
「ヴィギャん!!!!」
意味もわからずまたしても親父に殴られた俺。
もうなんなんだよぉ!!
泣きじゃくりながら玄関扉を開けると、そこにはいつもよりキリッとした感じの峰ちゃんが立っていたので、峰ちゃんに勢い良くすがりついた。
「みっみねちゃああんうちの家族がおかしくなっちゃったよおお」
「おじさん、おばさん、美智香ちゃん、おはようございます。…それでは行って参ります」
泣きつく俺を無視して峰ちゃんが
俺の家族に向かって深くお辞儀をする。
なんで今日の峰ちゃんはこんなにかしこまってるんだろ?と涙を拭きながら両親を見ると、両親は大泣きしていた。
そして峰ちゃんに「息子を宜しくね」とか「気をつけてね」とか色々言ってる。
もおーやめてよお峰ちゃんにオカシイ家族だと思われるじゃん!と抗議をしようとしたら峰ちゃんがおもむろに跪いて…えっ
「…もちろん、勇者は俺が守ります。何があっても。」
みっ、峰ちゃんまでおかしくなったあああ!!!!!
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