拍手お礼小説3「村上と河合の友情記」(村上と河合)


拍手御礼小説
「村上と河合の友情記」


「ロックだよな、俺たちって」

綿逆学園に入学し、二日目。
俺がこの学園に来て最初に出来た友人である村上が、唐突に発病し始めた。

「…え??ごめんちょっとよく聞こえなかったかも」

「いやだからさ、俺たちってロックだよなって」

あ、俺もしかして友達選び間違えたかもしんない!!
これが、俺がこの学園に入学して最初の後悔だった。
後悔が先に立たなかったおかげで今ではすっかり馴れ親しんでしまった村上だが、今日は俺と村上の出会いを、なんとなく紹介しようと思う。

4月某日。
転勤が多い父親に振り回されることのないよう、全寮制男子校を受験し見事合格した俺は、真新しい制服に身を包み入学式に出席していた。
ここ綿逆学園は幼等部から大学まである、そこそこの坊ちゃん学園。
中等部からは全寮制になるらしいため繋がりが深いのか外部からの新入生というのがあまり居ないからなのか、みんな既に友達と和気あいあいと過ごしている。

…アウェイ感がすごい。
俺ちゃんと友達作れんのかな、とか考えていたその時だった。


なんか、いきなり周りの生徒達がざわつきはじめ、舞台上に在校生代表の生徒が一名上がった途端、そのざわめきが黄色い悲鳴に変わった。
まるでアイドルのコンサートでも始まったかのようだった。
座っていた筈の生徒達が総立ちして盛り上がってしまったため、その在校生の姿を見る事は出来なかったのだが、のちに確認した所その在校生こそが、成瀬だったらしい。

…とにかく、その異様な空気に気圧されていたその時。

「あ、お前もしかして外部生??」

そう声をかけてくれたのが、村上だった。

その流れで、村上はこの学校の特色など、色々と教えてくれたのだ。

初めて出来た友達。
ちょっと馬鹿っぽいしウザい感じはあるが、俺も人の事は言えないし、親切っぽいし、良かったなーなんて思っていた。

…そんな村上が、こんな病気にかかっていたなんて。
初日は式だけだったから、気付かなかった。

「で、俺色々考えた結果、ロックシンガー目指そうと思うんだよな、プロゴルファーの夢は諦めてさ」

「え?ゴルフやってるんだ?」

「いや夢だったからまだやってねぇよ、当たり前だろ」

「えええ…」

「まあゴルフは小さい頃からやってなきゃ厳しいって事に気付いたんだよ、その点ロックはやっぱ魂だからさ。世の中への不満とか、すげえ伝えたいメッセージとかがあればなんとかなるだろ」

「ロックシンガーに失礼だろそれ!…でもまあ、何か伝えたい事があるのは良いことか。村上にはどんなメッセージがあんの?」

「ん?それはほら後々考えて固めていくわ。今は特に不満ないしメッセージとかもない」

「お前何にも無しかよ!!!!」

「うん、俺って基本平和主義だし、ギスギスしてんの好きじゃねえし、あんまり熱くなるのもちょっと引くっていうか…ぶっちゃけ人前で歌ったりとかも好きじゃないし」

「全部マイナスからのスタートか!向いてないにも程があるだろ!」

「そこなんだよな、でも俺はロックシンガーになりてぇんだよ!!だから一緒になろうぜ!!」

「絶対に嫌だ」

その後、でもお前ギター弾けるじゃん、いや弾けねぇよ弾いた事ねぇわお前俺の何知ってんだよみたいな、面倒臭い会話を15分間繰り広げる羽目になった。

…すごくウザかったが、正直楽しかった。
高校生活、村上と居たら退屈しないし楽しいだろうな、なんて思ったりして。
最終的に、ロックは無理だとしぶしぶ諦めてしゅんとする村上が可笑しくて、めちゃくちゃ笑った。

まあその直後に「じゃあアナウンサーは!?記事読むだけだし歌う必要もないぜ!」とか言い出してめちゃくちゃ怒ったわけだけど。

…とりあえず、こんな感じで俺と村上は友達になって、それから毎日一緒に居たりする。

疲れてる時は本当にウザいし、元気な時でもそこそこウザい村上だけど、いやに要領が良くて、なんだかんだ優しくて。

…本人には言いたくないし、人にもあんまり言いたくないが、俺の大事な親友だ。


あとがき
久しぶりの拍手御礼更新が相変わらずしょうもなくてごめんなさい!
河合と村上の絡みはめちゃくちゃ書きやすいです。
村上が相手だと河合がインテンポでツッコミを入れられるからです。
次に書きやすいのは小澤くんです。
最終的に「小澤ああああ!」と河合に叫ばせれば大抵成立します。
ほんとどうでもいいですねごめんなさい!

最後になりましたが、拍手ありがとうございました!


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