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そして、小澤君はぽろぽろ涙を流しながら、静かに続けた。
「…僕ってさ、女の子みたいな見た目してるでしょ?」
「はい???」
「一年のアイドルとか言われてファンクラブとかあってさ…クラスメイトも皆僕の事、ちやほやするか、こそこそ陰口言うかのどっちかで、僕を腫れ物扱いして、結局は一線引いてて……本音を話してくれる人とか、友達とか、ホントは居なくて…だから、その、河合君が、本当の事話してくれた事が今、嬉しくてたまらないんだ」
「小澤君…」
へへ、ごめんね、なんて言いながら、指で涙を拭う小澤君に、俺は胸が少し痛んだ。
可愛くて明るくて、一見人気者に見える小澤君だけど、本当はそんなんじゃ無かったんだ。
寂しくてたまんなかったんだ。
そりゃそうだよな…小澤君は女の子でもアイドルでも何でもなくて、俺達と同じ男で高校生なんだ。
「…俺も、小澤君の事、クラスのアイドルなんだって思ってて…一線引いてたかも。ごめんな。」
あとちょっと痛いとか思った事と本音に近い嘘ついた事もごめんなさい本当に。
「ううん、いいんだ。僕だって自分から友達を作ろうとしなきゃ駄目だったなって、今思った。河合君、ありがとう…僕達、友達になれる?」
「…もちろん!」
…こうして、俺達は友達になった。心底嬉しそうに笑う小澤君は、本当に可愛くて、俺は少しドキドキした。
「あ、河合君、あのネ、今朝のドタバタの話、聞いてくれる?」
「ああー、何か言ってたな。どしたの?」
朝の穏やかな時間。
楽しそうな小澤君の話し声。
うんうんと耳を傾ける俺。
なんかいいな、こういうの。
「えへへ、朝起きてね、制服に着替えたの。そしたら急にトイレに行きたくなって、行ったんだけどさ、尿のキレが異常に悪くって」
「うんうん…うん!?」
「おかしいなーと思ってトイレから出たら、残尿感があって、もう一回行っても同じで、繰り返してるうちに出る時間が来ちゃって、焦ってチャックしめたら、ちんこ挟んじゃってホント大変だったあ」
えええ下ネタだったよ!!
たわいない感じの、オチの無い話だろうと思って油断してたわ!途中雲行き怪しいなと思ったけどそれにしても驚愕のオチだわ!
「えええ、それ大変だったね…」
「大変だったよ〜ほんと痛くて僕朝から泣いちゃったよぉ」
色々ショックが大きくて、とりあえず俺はツッコミを我慢した。
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