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「コーラのおかわりだぁああ!?ボケ!!今コーラどうでもいいだろ!!俺泣いてんだぞこのバカ!!」

「あ?どうでも良くねーよ俺はコーラがもっと飲みてーんだよ!!泣いたらなんでも有りってか?うええええん!泣いたぞほらコーラ出せや!」

「ふざっけんなお前!」

非常に低レベルな喧嘩が始まった。
馬鹿らしいのは解ってるのに、止まらない。
押し込めてた物が一気に出てくる。自分にこんな怒りの感情があるなんて、思ってもみなかった。

でもこれは、八つ当たりだ。
俺は村上に怒ってるんじゃない。
謝らなきゃ。俺、村上に、まだお礼も言ってないのに。

そう思ってるのに止まらなくて、暫く不毛な口論が続いた。

…どのくらいそうしてたんだろう。
何時の間にか涙は止まってて、俺の口からはもうバカとかハゲとかの低レベルな単語しか出てこなくなったし、村上の口からはコーラしか出てこなくなった。

「……はあ、はあ…」
「コーラ…」
「お前しつこ…」
「コーラ!!」

…非常に馬鹿らしいけど、俺の負けだ。コーラを出して、謝って、お礼を言おう。
なんか、ちょっと笑えてきた。

…………

「で、泣いてた理由は??」
コーラを出してやると急に上機嫌になる村上。
なんかすげぇなコイツ…

「ああ、うん…その前に、さっきはごめん。あと、鞄ありがとう。下駄箱の事も、探してくれた事も…」

「オッケー。それよか泣いてた理由は?」

かっる!俺の謝罪と御礼に対しての返答かっる!お前は□ーラか!
コーラだったり□ーラだったりお前はとんちが効いてるな!ってそうじゃなくて…

「えーっとさ、どっから話せばいいかわかんないんだけど、」

とりあえず、隊長と出会った事、花壇にぶっささって助かったは良いけど、生き埋めにされた事、隊長にからかわれた事、この全ての出来事は、変態の悪戯だった事…思いつく限り全て話した。
自分の中で整理しながらだったから、時間系列もズレたりしたし、明らかにグダグダな説明になってしまったけど、村上は文句を言う事なく全て聞いてくれた。
相変わらずゲップはしてたから、感謝はしない。

「…って感じかな。とりあえず、俺、からかわれてたっぽいってか、うん、からかわれてた。まあもういいんだけど…」

「ふ〜ん」

ふ〜ん!?ふ〜んてお前それだけ!?こんだけお前俺が…えええ…

「ちょ、お前…もっとなんかないの、なんか…いやまあいいけど…」

「や、ちょっと考えてたんだよ」

あまりの無関心さに俺が少しショックを受けていると、村上が珍しく真面目な口調で言った。

「まずは話してくれてありがとな。俺の今の正直な気持ち言っていいか?結構ズバッと言うけど、怒るなよ」

胸がドキリとした。
村上が真剣な時ほど、大概どうでもいいオチが待っているのは知っているけど、それでも、何言われんだろうって、身構えてしまう。
いつもふざけてるからだろうけど、真剣な村上には、独特の緊張感みたいなものがあるんだ。

「…な、何?」

「…なんかさ、ミステリー物のドラマとか映画とかでさ、キャストで犯人分かっちゃう時あるだろ?こんなチョイ役にこの俳優使うかぁ?みたいな感じでさ…あれすげー不快だよな…」

「お前やっぱりかよ!!!!!」

ほ〜らな!!!!やっぱどうでもいいオチだった!!!!
クッソ緊張して損したわマジで!

「いやお前最後まで話聞けよ。とりあえず、今俺は、そういう映画観ちゃった時と同じ気分って事だよ。つまり不快。」

あ、そういう事か…いやそうだとしてもズバッと言うとか前置きしといて切り口がすげえ曖昧だったなお前!

「何が不快って、あれが悪戯だったんなら先輩らの存在がまず不快。けど何より、お前の対応と態度が1番不快だわ。」

あああフライングでズバッときたーーーーーー!!!!


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