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悔しいし、悲しい。
こんなイタズラに振り回されて、情けない。
俺が何したってんだ…

携帯を閉じて布団に潜り込むと、声を殺して泣いた。
涙が止まらない。
胸が苦しくてたまらない。
息も苦しい…
いや息が一番苦しい…

あ、これ酸欠かもしれない…

布団から顔を出し息を整えて、また布団に潜り込んで泣くを繰り返す。
するとそのうち悲しくて泣いてるのか、酸欠の苦しみで泣いているのかわからなくなってきた。

っていうか酸欠の割合がかなり増えてきた事に気付き布団に潜り込むのをやめた。
そしたら涙も止まった。
えっいつから酸欠で泣いてたんだ俺は…恥ずかしいわマジで…

途端に馬鹿らしくなって、服の袖でグシャグシャになった顔を拭いながら身体を起こす。
泣いてても何も変わらない、とにかく変態にメールを送ろう。
もうこんなイタズラは終わりにしてもらわなきゃ。

ーーーーー
ていうかこれってドッキリですよね?すっかり騙されましたよ〜Σ(・□・;)笑
でももうドッキリって気付いたんで、メールの返事はいらないですよ!なんかありがとうございました!
それではさようなら!
河合より(⌒▽⌒)★
ーーーーー

…送信。
なんかもう、明らかにキャラが違う感じだが、これでいい。
本当は馬鹿にするなと怒鳴ってやりたかったけど、もう面倒事は起こしたくない。
…というのは建前で、あんな悪戯を本気にして、ショックで泣いたなんて絶対に知られたくなかっただけだ。
気にしてないフリをしたいんだ。
…俺はやっぱりネット弁慶だ。

どうしてかまた涙が出そうになったその時、部屋のチャイムが鳴った。
来客だ。痛む身体を持ち上げて玄関へ向かう。

扉を開ける瞬間、一瞬あの変人成瀬の顔が脳を過ぎったけど、扉の向こうに立っていたのは

「おお、良かった生きてた!鞄持って来てやったぞ〜!えっ!?てかお前目ぇ赤くね?もしかして泣いた?どうしたどうした大丈夫か!とりあえずなんか飲もうぜ、コーラあったっけ?俺コーラがいい」

俺の返事を聞くより先に部屋に上がり込む、不躾な村上だった。




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