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「お、お前、いきなり大声出すなよ…つーか、自分で自分をゴミ虫とかきもちわる…」

「いや!俺、人が思ってる以上にゴミ虫なんです!隊長さんが思ってる以上にですよマジで、俺のゴミ虫っぷりたるや人間の想像を絶しますよ!人の皮被ったゴミですよほんと俺みたいな奴は!そんなゴミな俺が成瀬さんとどうこうなると思いますか!!!」

高校生活終了の危機を脱するため、早口で説得にかかる。
自分がこんなに饒舌だったなんて思いもしなかった。
ちょっと自虐が行き過ぎてしまったような気がせんでもないが、この際なんでもいい。
はあはあと息を荒くしながら親衛隊長の方を見ると、何やら戸惑っていらっしゃるようだった。

「……わ、わかった。もういい、もういいからホントに」

こ、これは好機かもしれない!
この人、口が悪くて一見気が強そうだけど、多分押しに弱いタイプだ!このまま一気に畳み掛けるしかない!
…脳が、かつてないくらいのスピードで回転しているのが解った。
俺には、出来る。
絶対に、平穏な日常を守る。
昨日は我慢の一日だった…だけど今日から、俺は新しい自分になるのだ。
その第一歩なんだ、これは。
…決意を胸に、思い切り息を吸い込む。そしてそのまま

「いえ聞いて下さい!俺のゴミっぷりを聞いてください!ゴミの話を!2分だけでも聞いてくだ」
「もういいっつってんだろーがこの鼻糞野郎が!メテオプラズマ拳!!!頭冷やせ!」
「ぴぎゃん!!!」

ドムッ…という鈍い音と共に腹に衝撃が走り、そのまま地面にへたりこむ。
その瞬間、サーッと血の気が引いていくような、妙な感覚が俺を襲った。

俺、何してんだろう…


「てめぇ、マジで、ほんとやめろよ、よくもこの僕を、こんな切ない気持ちにしてくれやがったな…マジでやめろよ!」

「ほ、ほんとすみませんでした完全に調子こきました…」

地面にへたりこんだ状態から、そのままスムーズに土下座へと体制を変えた。

い…痛い。腹も痛いけど俺が一番痛い。
どうかしてた、30秒前の俺完全にどうかしてた。
殴られても仕方ないくらいどうかしてた…
地面に頭をつけながら、羞恥心で目をぎゅっと瞑って、親衛隊長の反応を待つ。

「…何だよてめぇ…もう良い。ちょっと考える…」

親衛隊長はぼそりと呟く声が聞こえて、そのまま足音と共に、親衛隊長の気配が遠ざかって行く。


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