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他人の中二病っぷりを目の当たりにしてしまい、なぜか俺が物凄い恥ずかしい気持ちになった。
当の親衛隊長も少し恥ずかしいらしく、むすっと不機嫌そうに斜め下を向いている。
だったら言わなきゃ良かったんじゃないのかと思うが、俺が聞いたのだから、これは俺が悪い。
とにかくこの気まずさは異常だ、俺のためにも親衛隊長のためにも早くなんとかごまかさないと!


「…えっと、えーっと、す、すごい強そうな必殺技ですね…!」


あああ俺の馬鹿!マジで馬鹿!
何ぶり返しちゃってんの!今ごまかそうって決めたばっかりじゃねーか自分で自分が信用ならんわどんだけ機転利かないんだマジで!

「つ、強そうじゃなくて強ぇんだよこの…ゴミ…ゴミ箱!空き缶!」


あああ悪口に全然キレが無い!
もう意味わからん!
これやっぱりこの人も結構動揺してるわ、これはやばいマジでごめんなさい!
今度こそ話題変えます約束します!

「あはは、そ、そうですよね、あは、あはは…え、えーっと、何の話でしたっけ?」

ど、どや!上手くは無いかもしれないが、何とかこの状況を切り抜けるきっかけくらいにはなったんじゃないだろうか。
そう思ってホッとしていると、思い出したかのように親衛隊長がキッと俺を睨みつけてきた。

「…てめぇ、上手くはぐらかしてくれたじゃねえか。麗緒様にどうやって取り入った?」

ああああーやっべそうだった!
忘れかけてたけど俺今ボッコボコ寸前なんだった…!
切り抜けちゃいけなかったんださっきの状況!!

「あ、あの、成瀬さんとは、ホントに、何でもないです」

「あぁ!?てめぇこの期に及んでシラ切るつもりか。ネタは上がってんだよこのクソゴミ虫ヤローが。さっさと吐かねぇとマジで焼却炉にブッ込むぞ」

ヤ、ヤクザだ!
で、でもマジで俺は無実…っていうか被害者だ。
それをどうにかこの人に解って貰わなきゃマジで俺の高校生活は終了してしまう。

「ああああの、ホントに!ホントに違うんです!俺もなんで成瀬さんが俺みたいなゴミ虫に構うのか全然わかんなくて!俺が聞きたいぐらいでして!」

必死の形相で自虐まで織り交ぜて無実を訴え始める俺に、親衛隊長がビックリしたような表情を浮かべる。
俺だって自分で自分の事ゴミ虫だなんて言いたくなかったわ!
だけどここは引き下がれない。なぜなら俺の平穏がかかっているから。


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