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…とにかく、状況の整理をしよう。小澤君が居なくなった今、のろい君に話を聞くしかない。嫌すぎるけど仕方ない、がんばれ俺…!
自分に葛を入れて、俺はのろい君の方を見た…ら、のろい君が目を見開いてじっと俺を見ていたのでとりあえず目は逸らした。

うん、目を合わせなくても、話は出来る訳だし…うん…

「ああの、俺、気を失ったと思うんですけど、どうしてここに…」

「……小澤君が運んで来た。」

「小澤君が!?」

夢精して泣きながらパンツを洗ってるあの、…いや違うあの小柄な小澤君が!?
唖然としている俺を横目に、のろい君は続ける。

「火刑場の愚力と言うやつか。詳しくは小澤君から聞けば良い」

火刑場の愚力ってなんだよ火事場の馬鹿力だろいちいちめんどくさいな…!とにかく、小澤君から話を聞くしかないみたいだ。
…ちゃんとお礼も言っておかなきゃな。

そんな事を思っていると、のろい君がゆらりとこちらに近付いて来て、床に腰を降ろしているままだった俺の前でしゃがみ込んだ。
見開かれたのろい君の目は相変わらず血走っていて、ぞくっと背筋に嫌な物が走る。

「…河合総一君。君は一体何者だ」

「お、おおお俺は普通の高校生ですけ、ど…」

俺の答えが気に入らなかったのか、じりじりとのろい君が迫って来る。ちょ、近い!
…けど、身体が金縛りにあったように固まってしまって動かない。

……もう少しでキスされるんじゃないか、ってくらいのろい君の顔が近付いて来た。
そして、不意に腕をきつく掴まれて、心臓が跳ね上がる。

「目を閉じろ」

え、えええ!やばい、これはやばい!
恐怖からぎゅっと目を瞑ると、のろい君と俺の鼻先が触れた。
近い。っていうか、俺、一体これ、どういう状況!
俺は一日のうちに2人の変人からキスされてしまうのか!

掴まれた手がじんじんと痺れる。



……

………

…あれ?
いつまで経っても何もされない。
恐る恐る目を開くとそこには、プルプル震えながら、血走りすぎて白目を探す方が難しいくらい真っ赤になった目を見開いてこっちをガン見しているのろい君の顔があった。

「ぎゃ、ぎゃああああ!」

「霊視中は静かにしろ。」

霊視ってなんだ!キスより嫌だわ!…いや、キスも嫌だけど!なんでプルプル震えてんのマジで怖えええ

「どっ、どうしたの河合くぅううん!」

俺の悲鳴を聞き付けてビックリしたらしい小澤君の声が風呂場の方から聞こえる。

「おっ、おざわく…!」

助けを求めて扉の方を見ると、全裸の小澤君が慌ててこちらに走って来ているのが見えた。
小澤君のイチモツが揺れている。

…ちょっ、ええ、もう…!
何なんだよ、今日!!


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