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助かった…!小澤君によって開けられた扉から急に差し込んで来た光が眩しい。
けどそんな事どうでもいいとにかく助かった!

「河合君、大丈夫!?ごめんね僕、河合君が起きるまで起きて待ってようと思ってたんだけどっ、ねむく、なっちゃって、ぐすっ…」

小澤君が半ベソをかきながら俺に駆け寄って来る。
眠くなったくらいで泣かなくても良いのに…

「しかも、僕、変な夢見ちゃって、なんかね、こわくってね…」

俺の手を両手でがっしりと掴みながら、小澤君がぐずぐずと涙声で話す。
なんだか小さな子供みたいだ。
俺が意識を失ったのがそんなに不安だったんだろうか…少し嬉しくなった俺は、小澤君の手をしっかり握り返してやった。

「大丈夫だよ、小澤君。どんな夢だったの?」

「よくわかんない、夢、だったんだけれど、河合君が出てきたような、ぐすっ…気がするんだけど、もうなんかすごいこわ、くって…」

…小澤君説明下手すぎるだろ!いや、良いんだけど。
ふわっとし過ぎてて何も伝わって来ない説明ではあるけれど、とにかく小澤君の話を聞いてやる。
それが、のろい君との沈黙から俺を救ってくれた小澤君へのせめてもの恩返しだ…!

「でねっ、なんかね、水びたしで、こわいなあって思った、気がして、ねっ、ぐずっ」

水びたし!?っていうかあああもう怖いかどうかすらも曖昧なんだ!?
……いや!夢の話なんだから、曖昧なのも仕方ない。
こんなに小澤君が混乱してるのも、俺が不安にさせちゃったからなんだ。ちゃんと最後まで話を聞いてあげなくちゃ…

「うっ、うえっ、それでっ、最後に、水ばしゃってかけられてね、びっくりしてね、飛び起き、たらね、僕ね、夢精してたよパンツがきもちわるいよう河合くん!!」


ま、


まさかのオチ再びー!!!
得意の下ネタだよ!!

おあああしかも処理してねぇのかようおおおパンツ洗って来い!

「ぱ、パンツを洗っておいで小澤君…!」
「うっ、うん…っ、のろい君、ぐずっ、手伝って…」
「嫌だ。そろそろ一人で出来る様にならないと駄目だ。」
「ぶえっ…」

小澤君が泣きながら部屋から消えて行く。
…え、えええていうか今の会話何!?え、のろい君!?


「……あ、あの」
「愚かしい…!」

いやその台詞おかしいだろ!

…こうして、やっぱり俺は何もツッコめないまま、また嫌な空気が部屋に立ち込め始めた。


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