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愚かなる俺を呪う晩餐会が始まった。
今日は厄日だと諦めて逆にハイになった俺は全然食いたくなかった筈の料理にガンガン手を付けた。
…すると、びっくりする程美味いのだ、これが。
スペアリブに見えなくも無い良く解らない肉料理も、すごく美味しい。俺が知っているスペアリブの味では無かったが、とにかく美味くて、もしかしたらこれが本当のスペアリブで、俺が今まで食べてきたスペアリブがスペアリブじゃなかったのかもしれないと錯覚する程だった。
…どっちにしろ得体の知れない肉料理であることに違いはない上に、食べてる間中のろい君が目を見開いて俺を見ていたのも怖かったが、その辺は考え始めるとすげえ怖いので考えない事にする。
「あー美味しかった!野呂井君、ごちそーさま!僕食器洗うね!」
「もちろん俺も手伝うよ小澤君」
小澤君が食器類をお盆に乗せて、キッチンへと向かうのを、村上がすかさず追い掛ける。
ポイント稼ぎのついでに俺とのろい君を二人にさせて、俺の反応を楽しもうって魂胆なのか?
「河合総一君。生命の残骸は美味しかったかな…?」
のろい君がぼそりと声をかけてくる。だから言い回しが怖えよ、生命の残骸とか言うなよ!
でも、美味しかった事は確かだ。
「すごく美味しかった。えっと、ありがとう、ご馳走様」
素直にお礼を言うと、のろい君が初めて、自然に笑った。
…のろい君って、普通にしてると結構男前かもしれない。
「…それはどうも。それにしても君は、厄介な物に取り憑かれてしまっている様だ」
「え、ええ!?」
や、厄介な物って何だよ!取り憑かれ…え、えええやっぱ怖え!
「見えては居るのだ、確かに…なのに正体が掴めない……悪霊か?怨霊か?愚かしい…!裁きを…裁きを下すのはこの俺…」
あ、ヤバいですこの人!
俺は危険を察知し立ち上がる。
あと悪霊と怨霊って何が違うんですかね!いや聞けないけど!
「お、俺帰ります!すげえうんこしたくなったですんで!」
「還る…?それは赦さない。ここで脱糞しろ」
いやそれは無理だろ!
色んな意味で怖い事言い出しちゃったこの人!
俺は急いで扉に向かって駆け出した。後ろから、「部屋にだけは戻るんじゃない」とのろい君が言ったのが聞こえたが、おかげさまでなにがなんでも部屋に戻りたくなった。
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