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「わあ、すごい!美味しそう!これ、もしかして野呂井君が作ったの?」

スペアリブになっていなかった小澤君が、テーブルに並んだ得体は知れないものの一見豪華に見える料理の数々を見て目を真ん丸にしながら言った。
…この様子からして、どうやら小澤君がのろい君に料理を頼んだ訳ではないらしい。
ならどうして料理なんて作ってくれてんだよ!怖えよ!
チラリとのろい君を盗み見ると、ガッチリ目が合ってしまった。
え、えええ、いつからこっち見てたんだろうほんと怖い!
俺が震えていると、のろい君がトマトジュースに見えなくもない赤い液体が入ったグラスを手に取り、口を開いた。

「それでは、晩餐会を開始する。愚かなる河合君を呪って…乾杯」


お、愚かなる俺を呪って乾杯!?

字面だけ見たら「呪」が「祝」に見えなくもないのがまた怖え!
いや愚かなる俺を祝うのもおかしいけど呪われるくらいなら祝われたいわ!
そんでお前が仕切るのもどうかと思うしっていうか、え、愚かなる俺を呪って乾杯ってマジで何だよちくしょう!
こんなふざけた乾杯やってられっか!何とか言ってやってくれ村上&小澤く…

「「乾杯!!」」

あああ乾杯しちゃった!
二人とも普通に愚かなる俺を呪って乾杯しちゃった!
俺どうすりゃいいんだこれ…

「…おい河合、お前も乾杯しろよ…感じ悪ぃぞ」

しかも怒られたー!!
村上にだけは怒られたくねえわ!俺こそ怒りてえわ!

…いや、うん、これはもう俺マジで怒って良いレベルだ。

言ってやる。ふざけんなって言ってやる!
意を決して顔を上げると、目を見開いたのろい君がこっちを見ていた。



「…乾杯!!」



俺は愚かなる自分を呪って乾杯した。


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