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とりあえず二人でベットベトの手を洗って、なんとなくそのまま村上の部屋で談笑していた。
変人成瀬の事はどれだけ説明しても信用して貰えないと理解したから、俺はもうその件については何も言わなかった。
というか、こうしていつものように村上とくだらない話をしていると、あんな変人の事は別にどうでもいい様な気がした。
実際目の前にこれ以上無いくらいの変人が居る訳だからな。
そうこうしているうちに村上の同室の生徒(寮では、二人一部屋で生活している)が部活から疲れて帰って来たため、迷惑にならない様に出ていく事にした。
「じゃ、俺帰るわ」
「おー、飯どーすんの?」
「適当…あ、そういや小澤君に誘われてたから小澤君と食べるわ」
「おいおい!俺も行くっての!」
小澤君と聞いて飛び跳ねる村上。現金すぎるだろこいつ。
とにかく二人で部屋を出ると、小澤君の部屋へと向かう。
あ、でもそういや俺小澤君の部屋知らないんだった。
「小澤君の部屋ってどこだろ」
「404。ちなみに同室はA組の野呂井 翔」
「へえ、詳しいなー…って同室の奴の名前何て!?呪い!?呪いかける!?部屋番号とのダブル効果ですげえ怖いんだけど!」
「おいおい大丈夫だよ!名前は自分で決めれる物じゃねーんだから言ってやるなよ。中等部の時、野呂井と同じクラスだったけど全然怖い奴じゃねえし」
ああ、そっか、そうだよな。
俺失礼だったかも。
…ちょっと反省して黙っていると、村上が笑って俺の頭をぽんぽんと撫でた。
「…気にすんなって」
「村上…」
なんかウルッと来てしまった。
村上はウザいし変な奴だけど、基本的にはしっかりしてて情に熱い、良い奴なんだ。
そんな事を考えているうちに、404号室に着いてしまった。
俺は軽く首を振って、気合いを入れ直す。
そのままコンコン、と扉をノックをしようと思った矢先、扉が開いてその隙間からヌッと青白い手が伸びて来て、俺の腕を掴んだ。
「ッ!!!」
びっくりして手を離そうとしたが、その手は思いの外力が強い。
村上に助けを求めようとしたその時、扉の向こうで不気味な声がした。
「…君が来る事は解っていたよ…ようこそ地獄の懺悔室へ…裁きを下すのはこの俺、野呂井 翔です…」
あああああ怖いやっぱ怖い人だった!俺帰ります!あと村上死ね!
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