女装少年。
罰ゲーム(前半戦)

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あとはなんだっけ……、ああそうだ。
オタク用語では、男の娘って言うんだっけ。

まさか自分がこうなるとは思わなかったけど。
その、なんというのか……。
とにかく落ち着かない。

一番がその……、なんだ。
下着の中のモノの収まりで、女の子用の小さなそれでは隠しようがなくて、仕方がないから、内股で隠すように挟み込む。

少ないながら布地が押さえてくれているからか、それに関しての居心地の悪さはない。
ただ、なんとも心許(もと)なくて、ついつい内股に力を入れてしまう。

「なんだよ。ハル……じゃなくて、今は遥ちゃんか。ノリノリじゃん」
「なっ、ハルカって……」「こらばか。大声出すな」
「んぐぐっ」

遥って名前で呼ぶなと文句を言おうとした声を、亮に右手で押さえて奪われた。
肩越しに腕が回ってきたその体勢は、傍目には、後ろから抱きしめられているように見えているだろう。

そっか。
女装してたんだっけ。
奇しくも股間を気にするあまりに内股になったことも、悔しいけどこの際、よしとしなければ。

「あれ、反論しねえの?」

亮に聞かれたけど、答えは『イエス』だ。
この格好でこの声はないだろう。


そんなにハスキーってほどじゃないけど、俺の声は普通に男の声だ。
それより、今は男が女装してるのがばれる方がまずい。

調子に乗って腰に回してくる亮の手の甲をつねり上げて、にっこりと精一杯可愛く笑ってやった。

「も、萌え」

は?
お前、なに言ってんの。
亮って実は、オタクなの?

なんちゅーか、むちゃくちゃ喜んでるっぽいんですけど……。


「電車に乗る前に、駅前のマックで朝マックして行こうぜ」

不気味なほどにご機嫌な亮の提案で、俺たちは駅前のマックに向かった。


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