女装少年。
罰ゲーム(前半戦)

(6/14)

ってか、スカートがこんなに落ち着かないことを初めて知った。
中学生の頃、女子がスカートの下に体操着の短パンを履いてた気持ちがよくわかる。

ちなみにワンピースは白のキャミソールワンピとかいうやつで、薄手の透ける生地のカーディガンを羽織らされている。
色は薄いピンク。

確かに、俺は女顔だとはよく言われるけど、こんな平凡なやつを女装させたいって思うやつの気がしれない。

こらアキ、お前だよ。
よそ見してんじゃねえっつの。

足元は裸足にサンダル履きで、今が夏でよかったと、心から思う。
何たって、ぺたんこで楽チンだし、俺のサイズがあるのは少し悲しいけど。

まあ、俺は身長も160センチちょい、足のサイズも24センチしかない。
そう考えると、俺と同じくらいのサイズの女の子も多いんだろう。


俺を変身させ終わった姫ちゃんは何枚もパシャパシャ写メを撮って、始終ご機嫌なまま帰っていった。
亮にどこに出掛けるのか、聞いてみると、デートだなんてふざけたことを吐(ぬ)かしやがる。

「王様の命令は?」

亮が聞けば、

「ぜったーい!」

姫ちゃんが応える。

お前ら、夫婦(めおと)漫才師か。

絶妙なコンビネーションの二人の命令とやらで、こうして家を出たわけで、ご近所さんの手前、こうしてこそこそしているが、なんとなく大丈夫な気もする。

変身したあとに見せられた鏡の中。
決して美少女だとは言えないが、どこからどう見ても女の子にしか見えない自分がいたから。
しかも、そこそこ可愛い。


姫ちゃんは、部活の親睦会の一貫として実施される女装コンテストでメイクとコーディネートを担当したらしく、どうやらそれで彼女に白羽の矢が当たったらしい。

姫ちゃんのメイクはコーディネートまでもが完璧で、足の指にまでペディキュアとか言うマニキュアが塗られている。
おまけに、その小さな一つ一つにお花が咲いてるし。

なるほど。
早朝なのも納得がいく。
結局、半日近くがメークやコーディネートで潰れてしまい、あの時間じゃなければ、時間がなくなってしまうんだ。

俺からすれば、その分、時間が稼げたようで、不幸中の幸いって言ったところかな。


あいにく俺は詳しくないけど、これってコスプレって言うやつなんだろうか。

ってか、セーラー服とか制服じゃないし。

他に、女装系のコスプレは、ナースや婦人警官、レースクイーンぐらいしか思い浮かばない。

うん。AVの観すぎ決定。

だって俺、男の子だもん。


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