女装少年。
罰ゲーム(前半戦)

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――数時間後。


――ええと。
まずは何から突っ込んだらいいんだろう。

「なにこれ?」

とにかく一番、疑問に思っていること口にすれば、亮のクラスメート、姫ちゃんは嬉しそうに笑った。

「さすがは姫だな」
「んふふ。土台がいいからね」

今回はこないだのコンテストの時よりやり甲斐があったわと、よくわからないことを言いながらご満悦な彼女。

「よし。時間的にもちょうどいいな」
「何が」
「電車だよ」
「ってか待てよ。このかっこで外に出るのかよ!」

そう文句を言うと、姫ちゃんが例の顔で笑いながら、何やら可愛い靴とバッグを俺に差し出した。




さてここで、空白の時間のあらましを説明しよう。

自分の部屋まで二人に引っ張って来られた俺はまず、勉強机の前に座らされた。

「…なにこれ?」

そしたら目の前に出るわ、出るわ。
鏡に口紅に、付け睫毛に付け爪まで。

目の前に、ずらりとメイク道具が並んだ時には嫌な予感がした。
そしてその場合、だいたいの嫌な予感は悲しいかな、当たってしまうんだけど。

「はい。目を閉じてー」
「なっ!」

そんな姫ちゃんの嬉しそうな一声を合図に、俺の改造計画は遂行されてしまう。

「ちなみに、姫の命令も俺の命令ね」
「―――っっ」

わかってるっつの!

観念した俺は顔中をいじくり回され、気付いた時には、鏡の中に見知らぬ女の子がいたってわけだ。

それから当然、メイクだけで終わりのはずはなく、付け爪から付け睫毛、おかっぱボブのかつら、ワンピースまで用意されていた。

「キャミワンピの中はコレねー」
「なっ?!」

こ、これってまさか、ブ、ブ、ブラ、ブラ……、っ、ってか初めて本物を見たよ!

なんて興奮してる場合じゃないし!


臑毛や腋毛なんかのむだ毛の処理から、下着までもが完璧に。

つまりは、俺は二人の悪魔の手によって、完璧な女の子にされてしまった。


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