女装少年。 暗闇プレイ (7/8) もうすぐ夜の7時になろうとしていた。 「うう、失敗した」 夕食を食べて来たと嘘をついて部屋に引き返してきたからか、ドアを開けた瞬間に腹の虫が盛大に鳴る。 せめてスナック菓子でもあればいいんだけど、俺の部屋には、腹が膨れそうなものは何もない。 「くそっ。アキのせいだ」 なーんて八つ当たりもいいとこだ。 亮は帰り際に何か食ってくかって言ってくれたぐらいで、素直にご馳走にならなかった自分が悪い。 「うー」 仕方がないからベッドに寝転がって、手元にあった枕にかじりついてみる。 「…しょっぱい」 そしたらさっきの行為を思い出して、思わず枕に顔を埋めた。 子供の頃からの癖で、俺は、布製のものならなんでも口にしてしまう。 子供の頃は、お気に入りのタオルをずっとしゃぶっていて、それは俺が中学生の頃まで続いた。 高校生になる直前に、さすがにその癖は恥ずかしいということに気付き、やっと長年愛用してきたそれを捨てたいきさつがある。 現在、その代わりになっているのが、ベッドにある枕や布団、シーツなんかだ。 UFOキャッチャーの戦利品のぬいぐるみが餌食になることもあるけど、お気に入りのものは、すぐにボロボロになってしまった。 「んー……」 もうちょっと亮の部屋にいたらよかったなとか、夕食を食べたらよかったかなとか、今更ながらに自己嫌悪。 眠るにしてもまだ早すぎるし、かと言って漫画やテレビを見る気もしない。 「………」 と、なると左手が勝手にソコに行く。 「うがーっ、年中発情期のサルじゃあるまいし」 と、自分にツッコミを入れつつ目を閉じた。 亮と初体験を終えてからこちら、俺は以前よりも強くなった性欲を持て余していたりする。 それと同時に、何故だかだんだん乙女化していく自分がいた。 亮に抱かれてから、亮に触れたいとか、ぎゅっと抱きしめて欲しいとか、そんなことを思うようになった。 経験前のとにかく射精したいという動物的なオスの欲求とは別に、母性的な欲求が強まっている気がする。 prev|next 37/38ページ PageList / List / TopPage Copyright © 2010 さよならルーレット Inc. All Rights Reserved. |