女装少年。 暗闇プレイ (4/8) 「はあ……」 思わず大袈裟な溜め息を一つ。 制服はそのままに、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。 いつものように天井のシミをなんとなく探すように、何をするでもなく、天井をぼんやりと眺める。 夕食は多分、母さんが用意してくれているだろう。 それより、夕食の前に風呂に入りたいな。 ぎりぎりまで亮といちゃいちゃしていたから、汚れをバスタオルで拭っただけで、シャワーを浴びる時間もなかった。 重い腰を上げ、なんとかベッドから立ち上がる。 制服を脱いでいつもの場所に掛け、着慣れた部屋着を着た。 不意に、汗だけじゃないにおいが鼻について思わず苦笑った。 お互いに出すものは同じだからか、ローションの甘い香りとそれの独特なにおいしかしない。 それにしても亮のやつは盛りすぎじゃないかとも思うけど、思春期真っ盛りの俺もまんざらじゃない。 亮とするのは、自分一人でするのとは比べものにならなくて、正直、もう一人でする気にはなれなかった。 「愛ってやつは残酷で〜」 鼻歌混じりに風呂場へと向かう。 時計を見ると結構、いい時間で、慌てて部屋着を脱ぎ捨てて風呂場のドアを開けた。 うちの風呂は24時間、いつでも入れるようになっていて、湯舟にはなみなみとお湯が張られている。 「だけど愛することはやめられない〜」 湯舟に浸かる前にシャワーを浴びようと、シャワーの栓をひねりながら顔を上げた瞬間、鏡の中の自分と目が合った。 「――なっ、亮のやつ」 見なきゃよかったと言うべきか、見てよかったと言うべきか。 「あんなに気をつけろって言ったのに……」 首筋から鎖骨に掛けて、てんてんと点在する鬱血したような赤い痕。 それが何かは言うまでもなく、それが胸から腹まで、至る所に散っていた。 「あんの馬鹿……」 おまけにいつの間に、かぷっとやられたのか、乳首を丸く囲むようにしっかりと歯型までがついている。 胸やら腹のはともかく、首筋にあるのはとても微妙だ。 制服のボタンをきっちり留めたら隠せるレベルだけど、第一ボタン以外は外せそうにない。 今は夏だってのに、なんてことをしてくれるんだよと、口では悪態をつきつつも何故だか体が熱い。 しょうがないから何も見なかったことにして、頭から冷たいシャワーを浴びた。 prev|next 34/38ページ PageList / List / TopPage Copyright © 2010 さよならルーレット Inc. All Rights Reserved. |