女装少年。
暗闇プレイ

(3/8)

実は亮のモノが出て行った後にちょっとだけ、何とも言えない余韻が残るんだよな。
男は射精した後、俗に賢者タイムと呼ばれる不意に我に返る瞬間が訪れるもんなんだけど、亮に抱かれてイッた時だけは、少し違った。

まだ亮がそこにいるようで、しばらくはそこが疼くのだ。

(…これって、女の子と後ろを掘られたことのある男にしかわからない感覚なんだろうな)

そんなことをぼんやり思いながらベッドから起き上がり、居住まいを正した。

「はーる。ね、も一回」

突っ込む側の男にしては、珍しく賢者タイムがないらしい亮に軽く腕を引かれたけど、

「無理」

そうきっぱりと言い捨てて、床に散らばった制服をかき集めてきっちりと着込む。

「ちぇ」

ピロートークをまだ楽しみたい様子の亮はそう言って口を尖らせたけれど、それ以上、無理強いしてくることはなかった。



それから数分後、

「そんじゃ帰るわ」
「ん。また明日な」

夜にメールすると言いながら額にキスしようとする、こっ恥ずかしい亮を引きはがして帰路に着く。
途中、さっきまでの行為を思い出して顔を赤くしてるとか、我ながら、うぶなもんだよな。

やることやっといて今更なんだけど、全部が全部、初めての経験で、結構、いっぱいいっぱいだったりする。

これが亮以外のやつだったらもっとだっただろうなと思うと、経験豊富な亮とこうなったことに感謝しなきゃいけないレベルなんだろう。


歩いて数分の帰り道。
あの角を曲がれば俺の家だ。

両親が共働きのうちは家族三人が揃って夕食を取るのも稀(まれ)で、決して冷え切った家庭というわけではないけど、俺は一人でいることが多い。

「ただいまー」

今日は看護師の母さんは夜勤の日で、父さんもこのところ残業続きで帰りが遅い。
一声かけて家に入ったけど、やっぱり父さんは帰っていなかった。

「もうちょっとゆっくりしてもよかったかなー、なんて」

すっかり癖になってしまった独り言が口をつく。
そんな自分に苦笑って、取りあえずは着替えるために二階に上がった。


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