女装少年。
罰ゲーム(後半戦)

(9/16)

乱れた着衣を直し、慌ててその場から駆け出した。

「え、ちょ。ハル!」

何度か通った順路なんだから、亮がいなくても出口はわかる。


亮に置き去りにされてしまい、泣く泣く一人で制覇したこともある。

だから、あの場所であんなことが起こるはずがないのも知っている。
きっと、スタッフの人に見つかってしまったに違いない。


亮の唇がはむってそれを布越しに口に含んだ瞬間、頭上からいきなり生首が落ちてきた。
真正面に血まみれの逆さ吊りの生首があって、作り物だってわかってるのに俺は悲鳴を上げてしまった。

俺ら以外にもあの場所で始めてしまうカップルがいるのかも知れない。
そう考えたら恥ずかしすぎる。

ともかく、突然の邪魔者の登場が恥ずかしすぎるやら、びっくりするやらで、今すぐにそこから逃げ出てしまいたかった。


バカップルがまたやってるよって思われているだけならまだマシだけど、女装した男が気色悪いとか思われたらやり切れない。
好きで女装してるわけじゃないんだし、まあ、それなりに楽しんではいるけどさ。



「はあ、はあ。ちょ、遥おまっ……」

なんとか出口に辿り着いた時には二人ともぐだぐだで、肩を大きく上下させながら息を整える。
やっぱ、恋愛初心者の俺は人に見られたことが恥ずかしくて堪らなくて、このままどうにかなってしまいそうだ。

「ごめん。また嫌な思いをさせたか?」

オレンジ色の太陽を背負った亮にそう言われ、声には出さずにただ首を横に振る。

嫌なわけないじゃん。めちゃくちゃ気持ち良かったし。

そう言ってやりたかったけど、何故だか声にならなかった。



俺は電車の中である意味、覚悟を決めていたのかも知れない。
亮とセックス……、つかエッチなことをすることは、まだ正式な恋人じゃないけど、両思いの俺らにとっては当たり前のことだ。

ただ、できるならちゃんとベッドの上でやりたかった。
電車やお化け屋敷の中でとか、ある意味では野外でやるのと同じじゃん。

そもそもファーストキスも済ませたばかりの若葉マーク付きで童貞な俺が、電車やお化け屋敷の中で貞操の危機ってどういうことよ。

中途半端に亮に弄られたそこはまだ疼いてはいるけど、よくよく考えたらそう言うことだ。


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