女装少年。
罰ゲーム(後半戦)

(5/16)

ここで最後に遊んだのは、もう5年以上も前のはずなのに、俺と亮はほとんどの乗り物を覚えていた。
ジェットコースターは当時、できてばかりで、ちびの俺たちは身長制限で乗れなかったことも思い出す。

「あ。あれ乗りたい!」

早速、そう言って指差すと亮の顔色がみるみる変わる。

「却下」
「……ぶっ」
「…なんだよ」

偉そうに俺の頼みを却下した亮に思わず吹き出したのは、亮が相変わらずそうであることを知って嬉しかったからだ。
実は、亮は子供の頃からスピードが出る絶叫マシーンが大の苦手で、あの頃も身長制限があることを残念がるそぶりを見せつつ、心底ホッとした顔をしてたっけ。

「じゃ一人で乗ってくるから下で見ててよ」

そう言って、亮に笑いかけてからくるりと亮に背を向ける。

「転ぶなよ」

同じように笑いながら言われたその声を背中で聞きながら、順番待ちの列の最後尾に並んだ。
人気アトラクションの割に列はそんなに長くはなくて、この分だと割と早く乗れそうだ。



それにしてもさっきのやり取りとか、まんま恋人同士みたいじゃね?
いかんせん、男女の立場が反対のような気もしないでもないけど。

なんとなく、気になって後ろを振り返ってみると、目が合った瞬間、小さく手を挙げて亮が笑う。

「――っっ」

な、なんだよ。今の。
こっ恥ずかしいっつの。

その様子になんだかきゅんと来て、胸のドキドキが止まらなくなった。



時間にして数分間、コースの一番高い場所からも亮の姿は見えた。
コースターから降りてもまだ胸がドキドキしてるけど、これは高さとスピードに興奮したからだ。

うん。きっとそうだ。


それからは、スピードが自分で調整できるゴーカートやスピードはあまり出ない空飛ぶ絨毯(じゅうたん)やバイキングなんかで遊んだ。
メリーゴーランドやコーヒーカップのアトラクションはさすがに恥ずかしすぎて乗らなかったけど、ほとんどのアトラクションを俺たちは遊び尽くした。

「あー、楽しかった」
「なんつか結構疲れたな」

めぼしいアトラクションがほとんどなくなった頃にはそろそろいい時間で、太陽は西の方向に傾きかけていた。

まだ暗くなるには少し時間があるけど、あと一つか二つのアトラクションで遊んだら辺りは薄暗くなってくるはずだ。


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