女装少年。
罰ゲーム(後半戦)

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手のひらが汗でじっとりと湿って気持ち悪い。
なのに、繋いだ手を離せないとか。
これって、やっぱり女装マジックなんだろうか。

「どこ行くの?」

電車から降りて、お日さまの下へ出て、ぶらぶら街を歩いているその時に、なるべく小声の高めのトーンで亮に聞いてみた。

「映画でも……」「却下」

下心が見え見えな、亮の提案を一刀両断。

あんな人目につきそうでつかないとこなんて、とんでもない!

映画館なんか行ったら、一瞬で亮に食われてしまう。

中途半端に火をつけられた体が疼かないわけじゃない。
それでも、それだけはなんとしてでも避けなきゃ。

「普通のデートとかってさ。どこに行くんだろ」

だから、ぼそっと、まるで独り言のように言ってみた。



「んー、そうだな。やっぱ映画とか無難なとこなら遊園地とか?」
「ふーん」

さも当たり前のようにそう言うから、何故だか少しむかついた。

「へえそうなんだ。アキは今までに何回も、女の子と行ったんだよね」

そう少しすねたように言って、斜め下から恨めしそうに見上げてやる。

「…行きたい?」
「だめ?」

おお。なんだかだんだんわかって来たぞ。
亮の…って言うか、男のあしらい方。

小悪魔遥ちゃん誕生か?

女装したら心まで乙女になるのかどうだか、なんでか知らないけど、どう出れば亮が喜ぶのかがわかるんだけど。

姫ちゃんに感謝。
完璧な女の子にしてくれて。
これなら俺が本気で嫌がったら、亮も言うことを聞いてくれそうだ。

鼻の下を伸ばして、しようがないなあ…なんて照れ笑う亮。
こうして俺は、なんとか亮を遊園地へ誘導することに成功した。




もう一度、今度は遊園地行きの電車に乗り換え、目的地を目指す。
さっきの続きとばかり盛ってくる亮をさっき編み出した方法でかわすこと数駅、遊園地の最寄り駅に着く。

「ちょー久しぶり。昔、よく一緒に遊びに行ったよね」
「ああ」

前回、来たのは小学生の頃で、お互いの母親と一緒だったっけ。
遊園地というよりは児童公園といった方がいいような小さなとこだけど、その遊園地には有名な遊園地にも負けない立派な観覧車がある。


駅を出て歩く道すがらも手を繋ぐ。
振り返る女の子たちにビクビクしてたのも最初のうちだけで、今は、少しの優越感に浸っている。

どうだ。かっこいいだろ。
俺の彼氏。

……とと。
亮と俺とは単なる幼なじみで、恋人同士でもなんでもないんだっけ。


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