女装少年。
罰ゲーム(前半戦)

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突然、訪れる沈黙。
亮はぽかんとしたなんとも言えない顔をして、俺の顔を見つめている。

「…初めて?」
「悪いかよ」
「どれが?」
「―――っっ」

つか、そんなこと俺に聞く?!
男のプライドが粉々だし!

「…全部だよ」
「え?」
「全部だっつってんの!」

ああ、情けない。

「デートも。キスも。それから……、そのあとのことも」

なんで俺、こいつにこんなことを打ち明けてんだろ。
あまりに情けなすぎて泣けてきた。


電車を降りた駅の構内。
俺たちのやり取りを見て、ドラマの撮影かなんかだと思ったんだろう。
なかにはカメラを捜すようにキョロキョロする人もいた。

「行こ」

さすがに恥ずかしいし、ばれたらまずいしで、俺は涙を拭って亮の手を引いた。



なんとも微妙な空気が流れる。
俺、何がしたくて、何が言いたかったんだろ。
なんとなく愛の告白のようであり、そうでもないような。

っていうか俺、もしかして、亮のことが好きだったんだろうか。
つか、亮のことは普通に好きだけど、この気持ちは、なんだかそれとは違う気がする。

「…ふざけてなんかない」
「は?」

亮が何か言ったけど、声が小さすぎて俺には聞こえなかった。



いつになく真剣な亮の顔。

「ふざけてなんかないっつってんだ!」

今度は亮が大声を出す番で、

「ふざけてあんなことなんかできるかよ!」

亮が本気で怒った顔を久しぶりに見た。
道端で喧嘩を始めたバカップルを、オーディエンスは遠巻きに眺めている。

「罰ゲームもずっと楽しみにしてたし。何を命令するかとかも、罰ゲームを言い出した小学生の頃から決めてたし」
「え」
「ハルとデートして、お子ちゃまのじゃないちゃんとした大人のキスをして」

亮……、覚えてたのか。

「それから先のことも、ハルとだからしたかった」
「うそ……」
「嘘じゃない。俺も初めてだし…あんなこと」
「え」


『だってさ、おまえ。むちゃくちゃ慣れてたぞ?』

言いたい気持ちを飲み込んだ。


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