女装少年。
罰ゲーム(前半戦)

(12/14)

電車での移動時間は30分ほど。

「ハル、ごめんって。ちょっとふざけ過ぎた」

あれから亮に弄ばれて、散々な目に遭ってしまった。

「ほらあ。可愛い顔が台なしだって」
「…ぶっ」

亮に両頬を摘まれて、また、例の空気音が鳴る。

「ぶっ!」

そしたら亮は吹き出して、そんな亮の背中を思い切り両手でぶってやった。



最終的には、亮に射精させられた。
それも、亮も自分のモノを取り出して、それを俺のに擦り付けるやり方で。

そうしている間に幸いにもドアは開くことはなく、ただたまに誰かが俺たちの後ろを通った。
そのたびに俺たちはいったん動きを止めて、俺はぎゅっと亮の背中に腕を回す。

そうすることで、バカップルがいちゃついてると思われたんだろう。
声を上げて驚いたやつもいたけど、誰一人として足を止めることなく、俺たちの後ろを足早に通り過ぎていった。


壊れそうな胸の鼓動。
意外なことに亮のもそうだった。

亮にぎゆっとしがみついたら、顔が亮の肩ら辺にくる。
身を屈(かが)めてうつむいたら、耳がちょうど胸ら辺にきて。

ものすごくやらしいことをしてるのに、なぜだかその音を聞くと不思議と落ち着いた。
亮が言う、おま…の方は、俺が本気で嫌がったら触るのをやめてくれたし。

だから、

「なあ、ごめんって」
「…っさいっ!」

悪ふざけの一言で片付けるなっつの。
本気でふざけただけだったら、それこそ質(たち)が悪すぎる。


「…ごめん。もうしないから」
「―――っっ」
「ハルがそんなに嫌がってるとは思わなかった」

そう言って肩を落としながら前を行く亮の腕を引き、肘辺りを持ってこちらを向かせた。


「誰が嫌っつったよ!」
「は、ハル。声がでか……」「ふざけてしたから腹が立つって言ってんだろ!」
「え」
「こんなこと、ふざけてやることじゃないだろうが」

周りのことなんかどうでもよかった。
ただただ、亮の態度に腹が立つ。

「おまえはこんなこと慣れっこなんだろうけど……、ふざけてもできるんだろうけど」
「…違っ」
「俺は初めてだったんだからな!」

勢いあまって、恥ずかしいカミングアウトをしてしまった。


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