SEX,SCHOOL&ROCK'N'-ROLL 伝えきれないラブソング (2/5) 結局、どうやら俺は早とちりしてしまったようで、なんだか気が抜けてしまった。 「慧」 「ん?」 「どうせならファーストライブに間に合ったらよかったね」 「ん。けど、きっちりローンを完済してから手に入れたかったからさ」 ギターに慣れるまでに時間も掛かるしと笑う慧を見て、いつちゃんと告ろうかと思いを巡らせる。 「それより、弓弦は何か買うものはないの?」 「俺?今回は大丈夫かな。ドラムスティックも大量にストックがあるし」 大量に積み上げてあるドラムスティックをちら見して笑うと、慧も俺に釣られるように笑った。 親子共々ドラマーの我が家は、ドラムスティックは買うまでもなく親父が大量に常備してある。 「そっか。じゃあ、この後どうしよっか」 「え?」 「今日は練習もないし」 ファーストライブが終わった数日は、朗さんの仕事の都合と俺達の試験でしばらくSSRの活動は休止することになっている。 楽器屋にも『付き合った』し、これで終わりだと思っていた俺は、悪戯に胸がときめいた。 時刻はまだ午後5時を少し回ったところで、門限(あってないようなものだけど)までは、まだ時間がある。 「…うち、来る?」 そしたらそう言われて、 「い、行くっ!」 「……ぷっ。あははっ」 まるで幼稚園児のように、思い切りいいお返事をしてしまった。 prev|next 55/58ページ PageList / List / TopPage Copyright © 2010 さよならルーレット Inc. All Rights Reserved. |